Minakami Room

旅を続ける。考える。自由である。生きている。

自分に酔うこと、世界に酔うこと

自分に酔っていた。
昔のことだ。

3つ兼部して、生徒会長やりながら、学力は学年トップで、京都大学を目指している。
そんな自分に酔っていた。
具体的にはライトノベルやら色々読みながら、俺って主人公みてえだなぁと思っていた。
むしろ、これからにせよ……
「主人公になるんだ」と思っていた。

痛々しい過去、と切って捨てるべきだろうか。
でもあの頃、自分に酔って酔ってクラクラしながら前に前に進んだ結果として今がある。
それは間違いない。

そして今

酔えなくなった。
自分に。世界に。
というか、今自分に酔えるやつなんているのだろうか?
さっと調べただけで世の中、同い年やら下の世代で「すげーやつ」ばかり出てくる。

入試すらないN高は大量の東大生を排出しているらしい。

note.com

なんだなんだ。
京都大学目指したくらいで酔っていた自分がバカみたいじゃないか。
しかもウチの高校からだと独学せず目指せるのが教育学部だけだったから教育学部にした、その上で落ちたっていうオマケ付きだぞ。

「自分に酔う」なんてそんなことしなくても、今楽しめていたら良い、楽しいこと、夢中になれることをやれば良い、という人もいるかもしれない。
違うんだよ。
僕みたいな人間はさ、自分を一歩引いて眺めて、そこでスゲー、おもしれー、って認められないと楽しくないんだよ。
夢中になることと自分に酔うことが不可分というか。
夢中になっていたとしても「自分」という「他者」を客観視しているというか。

例外は酒、セックス、美味い飯。
それ以外はずーっとぼーっと自分をどこかメタに眺めている感じがある。

他人と比較しないこと

他人の凄さに気付いて、相対的に自分がしょぼく見えるから自分に酔えなくなった。
解決方法は極めて単純で「他人と比較しない」ことだ。

単純だ。
……不可能だけれど。

考えてもみてほしい。
自己すらも他者呼ばわりするレベルでメタに見ようとする人間が「他者と自己を比較しない」なんて、ほぼ不可能だ。
不可能に向かって走ってもロクなことにならないことくらい知っている。
だからといって、積極的に他人と自分を比較してたらそれこそ地獄へ一直線だ。
袋小路だ。

……今の若い子はどうなんだろうか。
こんな袋小路に入って絶望してんのかな。
袋小路の先には冷笑しかない。
あるいは、冷笑の果てに袋小路に入るのか。

積極的に酔うこと

袋小路から抜ける方法はあるのか。

分からないけど……
無理してひねり出すとすると……例えば。

無理してカッコつけること。
無理して粋であろうとすること。
無理して楽しむこと。
バカでいること。
無謀であること。
それでいて、ヤケにならないこと。

……そうやって、偽装した「酔い」に身を浸しまくるしかない。

……もしかすると、あるいは。
僕が「自分に酔えていた」と思っているあの頃も……
そんな「偽装した酔い」の真っ只中だったのかもしれない。
そんなド幸せってわけでもなかったしなぁ。

楽しむことも、夢中になることも、生きることも、自分に酔うことも、全て技術だ。
なんとなく自然にやってる人がいるけど、その人も適正があったやら努力したやらでそういった技術を手に入れた、ってことだろう。

自分に酔えないと幸せになれない僕らは。
自分に酔う技術を身につける他無いのだろう。

そして世界に酔いながら、酔って酔って、頭がボヤケたまま死ぬしかない。
明晰な精神のまま死ぬのは辛いからな。
自分に酔うことそれ自体に酔って、酔って酔って突っ走る。
そういったことができれば。
僕は強くなれたと、そう言えるのだろう。

ま、酒でも飲むかぁ。
アナタもちょっと飲みなよ。
少しは世界に酔えるかもよ。