Minakami Room

旅を続ける。考える。自由である。生きている。

俺は憧れに辿り着けないし、『葬送のフリーレン』は大分むぎ焼酎 二階堂だから困る

この記事では内省が延々続くので、興味がある人のみお読みください。
『葬送のフリーレン』の考察を期待されていた方がいらっしゃったら本当に申し訳ないですが、そういうのはほぼありません。

筆者はフリーランスエンジニアで、幸運なことに今稼働は少なめでもなんとか生活できていて、時間には結構余裕がある。
その時間で悠々と司法試験を目指して勉強し、エリート弁護士に……

なれるというほど単純ではなく、考えること、考えなければならないことで頭が埋め尽くされ、全然勉強できないでいる。
典型的なダメ受験生である。

ただ、大学受験や就活とは異なり、タイムリミットはない。*1
それに一応自分のお金で生活してるわけだし、誰に恥じることもない、自分を過度に責める必要もないかなと思い、なんとか日々を過ごしている。
そして考えすぎて頭がパンクしそうなので、こうやってブログで吐き出している。

どんなことを考えるのか。
例えば、こんな神経質なやつが司法の現場に立てるのか?とか。
判例読むだけで結構落ち込んだりする。
司法試験界隈では伝説の講師である伊藤真は「刑法は真剣に考えすぎると落ち込むからあまり踏み込むな」とそのままズバリ言っていたりする。

それから、法律の勉強では色々な「説」を理解する必要がある。
例えば条文では「第三者」とだけ書かれている場合、その「第三者」に明らかに当事者を陥れようとする悪いヤツが含まれるのか?含まれないのか?みたいな。
あと、憲法前文を根拠に裁判を起こせるのか?起こせないのか?みたいな。
つまり法律の解釈を理解する必要があるわけだ。

そういうことをずっと考えていると、「一体俺は何をやっているのだろう?」としょっちゅう思う。
筆者は文学部出身なのだが、文学作品(テクスト)を解釈することは、その文学作品に新たな「光」を当て、新たな価値を見出すことだった。
そういったミッションがある程度見えていた。

法律はそういった文学の「解釈」とは明らかに違う。
もちろん法律の文言が抽象的なのはそうしないと現実のあらゆるパターンに対応できないからで、だからこそ抽象的な法律に対して学説や判例によって色々な「説」が挙げられることで肉付けされていく、という理屈はあるのだけれど……
それでも、たまに凄く居心地の悪さみたいなものを感じることがある。

その全てを上手く説明するのはとても難しいけれど、ひとつの理由として、僕が生物学のような自然科学に対する憧れを捨てきれていないからなのではないか……と思っている。
生物や自然のような、少なくとも法学の世界の「解釈」とは異なる次元の学問、あるいはそういった世界に自らの人生を費やす余地はあるのではないか、と。

最近、うごめ紀というYouTuberの動画をよく見る。

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虫に寄生するキノコである冬虫夏草にものすごく詳しい方で、おそらくは専門家の方と思われる。
冬虫夏草だけではなく、あらゆる生物に詳しい。
何者かわからないのだが、解剖学者にして国語の現代文の文章常連の養老孟司大先生とも個人的親交があるらしく、明らかに只者ではない。

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このうごめ紀という人は生物のために与那国島に行ったり色々な場所に行って、そこにいる生物に関してヒョイヒョイと分かりやすく解説していく。

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なんていうか……
凄いなぁ、良いなあ、って思う。
ちょっとした憧れだ。
法律のジメジメさと比べて、なんと自由闊達なんだろう。
……そう思ってしまうのは僕が未熟なだけかもしれないが。

筆者は文系学部に進んだ。
大きな理由は……
「勝てたから」である。
勝てたんです。文系なら。
高校の中なら誰にも負けなかったんです。

もちろんそれだけではなく、そのとき小説にかぶれてたから、というのもある。

mistclast.hatenablog.com

まあ何にせよ、夢を追いかけた、とかそういう理由ではなかったわけです。

ただ一方、筆者は幼少期からの経験を通じて魚は大好きだった。
金魚や錦鯉の放流を批判してきたのはその流れがあってのことだ。
(今はいわゆる「炎上」に首を突っ込みたくないので距離を置いているけれど)

mistclast.hatenablog.com

金魚放流を批判したとき、あまりにも生態系や生物に対し無知、無関心な反応が多々あり、愕然とした記憶がある。
だからまぁ人よりも多少は魚や生態系について詳しい方だと言えるのかもしれない。

が、あくまでも「多少」である。
うごめ紀氏相手になど比べることすらおこがましい。

そもそも生物系YouTuberは魔境である。
知識量だけでなく、度胸、好奇心が図抜けている人ばかりだ。

以前実家に帰省したとき、地元には田んぼがたくさんあるのだが、その田んぼのほぼ全てでジャンボタニシという外来種の貝が大繁殖していて愕然とした。
このジャンボタニシ、稲を食害するわアホみたいに増えるわ、なかなか迷惑な奴らなのである。

ふと「こいつらなんとか食べられないのだろうか」と思い、生き物ならなんでも食べてしまう生物系YouTuberの平坂寛氏の動画を検索してみた。
なんでも食べるし、危険生物に噛まれてみたりと身体を張っている(というレベルではない)動画の数々で有名なYouTuberだ。

平坂寛氏なら食べてるだろうなぁ……





www.youtube.com



……。
嘘だろお前。

いや、尊敬してる人をお前呼ばわりはダメだと思うけど。
嘘だろお前。

さすがに目を疑った。
ジャンボタニシの卵は見て分かるようにあまりに毒々しく、そして実際に毒がある。

敵わない。
……いやまあ平坂寛氏は生物系YouTuberの中でも特別だと思うけどさ。
まぁとにかく、うごめ紀氏にしたって平坂寛氏にしたって、少なくとも圧倒的好奇心と行動力をベースに今の在り方に至っているのは間違いないわけで。

……。
僕には、それは、無い。
さっき述べた「憧れ」は、小学生がパイロットや野球選手に憧れるようなものだ。
それは自覚している。

それでも、たまに……
「世界中を股にかける芸大卒のカメラマン」みたいな人の展示なんかを見ると、強烈に「羨ましい!」と思ってしまう。

羨ましい?だったら動けばいいだろう。
もし本当にカメラマンに憧れるなら、さっそくiPhoneでも抱えて自慢のバイクで写真を撮りまくれば良いのだ。
でも、そういうことではない。
そういうことではないんだ……

結局、僕は色々なことに手を出して、その上で妙に神経質だったり退屈が嫌いな自分の性質を活かしながら食っていくための選択しかできなかったわけで。
ひとつのことに強い好奇心を持って、ドーン!みたいなことができなかったこと、それ自体は受容しつつある。
けれど……

なんとなく自由で、なんとなく専門的で、ハタから見てそんな職業あるいは生き方に憧れてしまう、そんな気持ちはどうも否定しきれない。
もちろん大人の脳は「そんな単純なもんじゃないよ」と囁いてはいるのだけれど。

先程も述べたけれど、じゃあさっそく動けよ、やれよ、という話である。
だが、「じゃあやれよ」、という僕の言葉に、僕自身が応じる。

「……何を?」

バイクで色々なところを走った。
日本中を走った。
けれど、自由になれた気がした(30代に至るまでの夜)だけで、胸の奥にはいつも少し切なさがあった。
この「自由」は、どこまでいっても「自由のようなもの」だなぁ、と。
そして同時に、それこそが「自由」の本質なのではないか、と。

大分むぎ焼酎とフリーレン

話が急に変わるけれど、最近『葬送のフリーレン』が流行っている。
そして僕は……
『葬送のフリーレン』は大分むぎ焼酎 二階堂だと思っている。

……あ、待って。
僕はまだ狂ってないです。
大丈夫です。

二階堂のCMを観て欲しい。

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観られる環境の方は、『葬送のフリーレン』3話のOP明け(1:30〜)を観て欲しい。

……それっぽくない??
……いや、っぽいのは当然といえば当然で、そもそも二階堂のCM自体が滅茶苦茶ロードムービー的なのよね。それも昭和の。

で、フリーレンってノスタルジックなロードムービーでもあるから、当然のごとく共通性があるんよね。

そして僕は延々酒を飲みながら、フリーレンを観て、二階堂のCMが観たくなって、YouTubeで公式アップロードされている二階堂のCMを延々と観ていたのだけれど……
なんというか、感情の置き場に悩んでしまった。

二階堂のCMを観ているとどこか遠くに行きたくなる。
日本の原風景を観たくなる。
でも、遠くに行ったところでどうにもならないことは知っているのだ。
それはさっき語った。


いっそのこと、もう田舎に移住でもしちまえば良いのか。
でも実際にやったら退屈で死んじゃうだろうなぁ……

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↑は二階堂のCMの中でも傑作なのだけれど、この老人のような「生き方」ができない、できないであろう自分自身もこのCMの中に見出してしまう。

つまるところ、二階堂のCMは僕に何か変な方向から突き刺さってしまうのである。
憧れ。
そして自分が憧れに辿り着けないこと。

……生物系YouTuberの話と二階堂の話、繋がってます……?
ごめん、少し無理矢理だったかもしれない。

まあ、こんなやつにできることは、せいぜい地道に法律の勉強するくらいだろう。
二階堂のCMが示す憧れの地には辿り着けなくとも、バッチつけて法廷には立てるかもしれないのだから。
それはそれで、間違いなくひとつの「憧れ」ではある。
まだ疑ってるけどね。

……ちなみにこうやって日々ブログで吐き出していたら、何かしら面白い誘いがあったりするかも……的な期待は無いではない。
誰かエッセイのお仕事とかくれませんかねぇ。
……完全に邪心である。

お読み頂きありがとうございました。
ではまた。

*1:だからこそタチが悪いとも言える。