Minakami Room

旅を続ける。考える。自由である。生きている。

不登校を肯定した上で、ゆたぼんを肯定できない理由

こんにちは、Mistirです。

最近、ブログで語りたくない。
少し人生に燃え尽き気味で何もかも猛烈に面倒くさい。

ネットで話題のことについてならなおさらだ。

いくら語ってもすぐに忘れ去られていく。

そんな中、時折話題になっては消えていく「不登校YouTuber」のゆたぼん。

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話題にしてはならない。
彼というより、おそらく彼の親は話題を作りたいだけだ。

だけど、彼と彼に対する反応についてどうしても語りたいことがある。
少しだけ聞いて欲しい。

 

僕は不登校を肯定する

彼を批判するコメントで時折見かけたのが、彼の不登校そのものを……あるいは不登校そのものを非難する論調だ。
例えば「本当に不登校の人に失礼」とか。
「不登校ではなく、ずる休みに過ぎない」とか。

だけど僕は、「不登校になる」ハードルは極限まで下げられていいと思う。というより、下げられるべきだ。

理由は主観的な話になるけれど、社会人になって毎日仕事をしている今よりも、あるいは社会人になって毎日仕事をしていて最も辛かった日々よりも、小学校の頃の方が圧倒的に辛かったから……
逃げられなかったあの頃の辛さを今でも思い出すからだ。

何があったかは言わないけれど、僕はたまたま、運良く死ななかっただけ。殺されなかっただけ。
そう思っている。

僕を限界ギリギリまで追いやったのは親であり、学校であり、先生だ。
早熟な人間にも未熟な人間にも極めて平等に稚拙を押し付けるあの空間と、そこに集まる有象無象だ。

……と言うと、僕個人の話に収まってしまうけれど……

そもそも、僕がなぜそれでも学校に通い続けたのか?

理屈で考えても分かるだろう。
大人ですら明らかなブラック企業から逃れられなくて、自死を選んだり、殺されたりする。

子供なら、なおさら。
それは当然じゃないか?

大人ですらブラック企業の閉じた世界を「逃げ道がない」と思い込んでしまうのだ。

いわんや子供が……
決して全てじゃない「親」を、「学校」を、「有象無象」を、全てだと思いこむ。
「この地獄には逃げ道がない」と思い込んでしまう。
ごくごく些細なことで追い詰められてしまう。
自明じゃないか?

キツい言い方だけど、そのことに思い至らない人は。
……よっぽど幸せだったんだろうな、としか思えない。
あるいは、よっぽど想像力がないか。
あるいは、その両方。

だから僕にとって極論、「不登校」のハードルを下げる発言はすべて肯定の対象だし、本意にせよ不本意にせよ「もっともっと辛い思いをしてもっともっと限界まで追い込まれて、そのときにやっと不登校は許される」というニュアンスの発言をする人間のことを、僕は断固として否定する。

その点で言えば、僕はゆたぼんの行為を肯定することになる。
……ゆたぼんのやってること、結果的に不登校のハードル上げてない?っていう議論は泥沼化するのでやめておこう。

さらに言えば……これは、僕の中におそらく残っているであろう最低限の誠実さを担保するためにわざわざ言うのだけれど。

もし不登校のハードルが極限まで下げられることで10人が救われて、10000人「結果として学校に通わなくなり不幸になった子供」が生まれたとしても、僕は同じことを言うだろう。

僕は正義の味方じゃない。

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まぁ↑の画像貼りたかっただけ、っていうのもあるけど真面目な話。

僕は正義の味方じゃない。
僕と同じ境遇だった人間の味方で、僕が嫌いだった想像力がない「幸福な」方々の敵だ。
それだけは強く言っておきたい。

……で、だ。

ここからは全く別の話になる。
ゆたぼんがやっていること、あるいはやらされていることについて。
ここまでの否定的論旨が、実はぴったり彼(と、その親) にも当てはまってしまう、という問題だ。

「ググれば全て解決する」←これは○○にのみ許された発言だ

www.youtube.com


話題になっていたのは、彼の「漢字はググるだけでいい」「計算も電卓でいい」という発言だ。

正直、その是非はどうでもいい。

正論ならいくらでも言える。「消費税もいちいち電卓で計算するの?」とか、「ベースとなる知識があるからググれる」だとか。
それは他の人に任せる。

僕が気になったのは、この発言が……

そもそもホリエモンあたりの言っていることとまんま同じであることだ

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いや、ホリエモンじゃなかったかな……
とにかくその系列。
ビジネス系の成功者が言っていたはず。
というか、そもそも全然目新しい発言じゃない。目新しい発言なら誰が言ってるか覚えてる。

余談だが僕はホリエモンがそこまで嫌いじゃない。
むしろ割とファンだ。

某社の社長がTwitterでお金をばら撒いたときに「みんな夢があっていい」みたいなことを言ってたときはあまりのおぞましさに背筋が凍ったが、良くも悪くもホリエモンはそういった欺瞞は言わない。
そのあたりの天然臭が僕には心地いい。
他のビジネス系の方々にありがちな欺瞞がホリエモンには異様に少ない。それが彼をトップランナーたらしめている証拠だと思っている。

閑話休題。

結論を言えば、「漢字はググるだけでいい」「計算も電卓でいい」という考え方は……

ただの成功者が言い放つ無責任な発言だ。

現実には因数分解が微塵も出来なくて後悔してるやつは山程いるだろうし、僕なんかゴリゴリの文学部卒なのに今線形代数を勉強している。
筆者Mistir:ブロガー (正体はフリーランスエンジニア)

別の話になるが、例えばホリエモンは「東大なんか誰でも入れる」という。東大に入学した彼は、そう言う。

僕は彼が嫌いではないけれど、この「誰でもできる」という言い方は途方もなく嫌いだ。
そりゃ僕も個人的な感情で言えば「正しい方法で勉強した高校生なら誰でもセンター試験5割は取れる」は是か非かで言えば是だと思うし、「誰でも息ができる」すら言えないかという話になってくるともうわけがわからなくなる。

それでも、成功者が言う「誰でもできる」を僕は途方もなく嫌っている。

誰でもできるわけねーじゃん。
人にはできることとできないことがある。
そんな「誰でもわかる」ことさえ「わからない」んだから「誰でもできる」なんてこと気楽に言いなさんな。

「三島由紀夫でもできたんだからお前にも腹切れるはずだ」とか言っちゃうぞ。大人気ないけど。

それはそうと、先程わざわざ避けた議論に足を踏み入れてしまうからあまり言いたくないのだけれど、「調べればいい」は他の能力が充足して食うに困らなくなってようやく言える絵空事だと思っている。
「誰でもできる」も同じだ。
できたから言えるのだ。
できなかったやつは言えない。

何が嫌いって、この手の発言って「できなかったやつ」「それさえやればよかったわけではなかったやつ」の発言を完全に封殺するのだ。
死人に口なし、ならぬ「敗者に口なし」だ。
「それはお前が考えてこなかっただけ」「正しい努力が足りなかっただけ」、無限の正論で無限の完封勝利。
はー、しょうもない。

そんなわけで僕は成功者の発言を、どんな属性であれ一歩置いて考えるようにしている。

……そろそろ、話をゆたぼんに戻す。

僕は基本的に子供っていうのは大人が思うよりいろいろ考えてると思ってるし、そのスタンスで接している。
子供は大人が思うよりも大人を見ている。

それを重々承知した上で、彼が「成功者」目線に立っていること、あるいは立たされていることについて、僕は微塵も肯定できない。

そこには想像力がないんだもん。明らかに。

もっとも、彼は「言わされてるだけ」かもしれない。
子供の言っていることに一々突っかかることも無いのかもしれない。

だけどさぁ。
「鵜呑みにするな」と教えること。
バズに流されず、本質を (見ることができなくても) 見つめようとする態度を育てること。
それこそが「教育」じゃないの?

きついこと言うけど、これは一種の教育放棄の現場を見せられているわけで、そりゃ議論も紛糾するわと思う。

……まぁ、もし……万が一……
彼が自分で (少なくとも直接的に伝えられたわけではなく、自分で調べた結果として)「わからなければググればいい」っていう発想に至ったのなら……
いや、仮にそうではなかったにせよ。

……ここからは僕の完全な、極めて個人的なやり方だけど……

多分、税理士試験か公認会計士試験あたりの1級の過去問を印刷して、やってもらうと思う。
彼が何歳でも関係ない。

ギブアップするまで真剣に問いてもらう。

もし無理だったら。
2級、3級とだんだん下げて、SPIの過去問と下げていく。
最終的にどこに落ち着くかはわからないけど、とにかく下げていく。

で、「この試験でこの点がこの時間で取れて、やっとお給料これだけ(おそらくその時点だと平均的な給与より大幅に下だろう) の『入り口』だね」と伝える。

僕は多分本当にやるだろうな。
というより、「勉強なんで大事なの?」って言われたらこれすりゃいいじゃん、と思っている。






……結婚の予定?ないです。



酷いオチやめろや。



お読みいただきありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。


……オチやめろや……

 

物語化する世界と現実を揺れながら

こんにちは、Mistirです。

心が少し乱れているので、結論も持たず、語りたいことを語ろうと思う。


「現実が物語を超えていく」。

物語は、喜劇だけじゃない。悲劇も、もちろんある。

ここのところ。
時代の偶然か、必然なのか。

僕が思うに。
「物語より物語じみた」事件ばかり起こっている。

「そういった事件ばかりが盛り上がるだけだ」と、そうも言えるかもしれない。
けれど……まぁ。

とにかく、僕が脚本家なら「ベタすぎて却下したくなるような」そんな事件ばかり起こっている。


 

話は急に変わるけれど、最近『東京タラレバ娘』を読んだ。

東京タラレバ娘(1) (Kissコミックス)

東京タラレバ娘(1) (Kissコミックス)

 

有名な作品だし、僕が語ることもないかもしれない。
が、念のためあらすじ。

あの時彼がもう少しセンスが良かったらプロポーズを受けていたのに(倫子談)。バンドマンの彼がもう少し芽が出る可能性があったら'(香談)'。こうしていたら……、ああすれば……、高い理想を掲げて根拠もなく仮定の話を積み上げているうちに、気が付けば独身のまま33歳になっていた。

脚本家の鎌田倫子は、恋も仕事も上手くいかず、高校時代からの親友である小雪と焦りながらも「女子会」を繰り返す日々を送っていた。そんな話ばかりしていると、突然、金髪の美青年に「このタラレバ女!」と言い放たれてしまう。

いつのまにか金髪の美青年はいつもの飲み屋「呑んべえ」の常連となり、倫子たちと何かしら関わってくる。

ja.wikipedia.org


滅茶苦茶シニカルに現実を見据えながら、エンタメとしてのラインは守っていく作者に戦慄するんだけど……
僕がこれを読んで思ったのは、どこまでもこの作品が「現実的」だってことだった。

そりゃ、金髪のモデルとお知り合いになったり、エンタメとして「フィクション」の成分はガッと入ってるけど……
作品は途方もなく現実的だ。

何が現実的か?
婚期に焦る女性の描写が現実的だと、男である僕が言うのか?

そんなもの僕は分かるとは言えないけれど、よーくわかったことがひとつある。

「タラレバ娘」たちは、結局のところ……
「ごく普通の」欲望に、とても正直だ。
そして「普通の」欲望に振り回されて、不幸になったり、時に幸せになったりする。

付き合うなら、冴えない男じゃなく、イケメンがいい。
当たり前だ。
金を持ってる男がいい。
当たり前だ。
妥協はしたくない。
当たり前だ。

全てが、当たり前だ。

男に置き換えたっていい。
かのT.M.Revolution、西川貴教のアニキも「どうせなら街くらい綺麗な子と歩きたい」って言ってるし。

www.youtube.com


だけどこの「当たり前」っていう考え方は……
大なり小なり、社会なり他人なりに抑圧されてるものだ。
「ポリコレ」なんていう言葉を出すまでもない。

「物語」は、そんな「当たり前」を救ってくれる役割もある。

なんやかんや言っても、君ら美少女に囲まれたいやろ?
そんなもんそんなもん。
それでええねん。

……それでええ。それはそれでええ。

が。
この辺りで話を戻そう。

「現実が、物語を超えていく」。

言い換えると。
現実が一番虚構じみている。
少なくとも、ここ最近僕はそう思うことが増えた。

はっきり言ってしまって、こんなことを考えた最大のきっかけは……
川崎の事件と、元事務次官が息子を殺した事件だ。

特に後者について、僕はこんなツイートを残した。

僕は以上の立場だ。
だから、その「立場」からすれば、わずかでも元事務次官を肯定することができない。

だが。その立場を前提としても。

偶然……殺された被害者のツイートと、その反応をたまたま、読んでしまって。
これはここに載せたくないから、もし読みたければ各自自己責任で調べて頂きたいのだけれど……

あまりにも。
あまりにも出来すぎた「物語」がそこにあって。
僕は、それに激しく嫌悪した。
「物語」じみた現実に。
その現実を、「物語」として一瞬でも受容しようとした自分自身に。
そうすることが楽だと、そう思った自分に。

物語じゃねえ、現実なんだよ、人が死んでんだよ。
人が、死んでるんだよ。現実として。

だけど、あまりにも被害者のツイートが「虚構じみていて」。
それはおそらく、被害者の虚勢の表れだったのだろうけれど。
本当に「虚構じみていて」。

何を思えばいいのか、何も分からなくなってしまった。


……さて。話を今度は逆方向に戻そう。

『タラレバ娘』を、僕はどう楽しめばいいのか。
ああ、こんな現実もあるかと、リアルだと楽しめばいい。
物語は物語だ。いかにリアリティがあろうと、いかに含蓄があろうと、いかに下衆かろうと、物語は物語だ。

現実世界の中で、人は物語を楽しめる。

じゃあ、「物語じみた現実」は?

現実は現実で楽しめばいい。楽しめる現実は、楽しめばいい。
それを超える「悲劇じみた現実」は?

……なんてことを思ったけれど。
現実は、どこまでいっても、ただの現実だろう。
それ以上でもそれ以下でもない。

だけど。
この物語化する現実を。
物語のまま捉えようとしている自分に、人々に。

……途方もなく単純化するなら。
「これは悲劇だから、仕方ない」という諦めと受容と、あるいは……

それを少しでも、熱狂じみた感情で受け入れる世間、あるいは自分に。
あるいは、「ああ、悲劇」と単純化しようとする心に。
怒りに。分断に。悲しみに。

ノーと言わなければならないと。そう思ったのだ。

(大袈裟だ、被害妄想的だと言うなら殺された被害者のツイートに寄せられたリプライを読んでみるといい、僕の言っていることがよく分かると思う)

……

今Mistirが一番オススメする漫画は『呪術廻戦』です!
超面白いぜ!!!!!
1巻はイマイチだけど、2巻から鬼のような勢いで面白くなるから絶対読んでくれよな!

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呪術廻戦 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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お読み頂きありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

冷笑と情熱、そして平成が終わる

こんにちは、Mistirです。

夢を追いかける大人が嫌いだ。
いや、厳密に言えば好きじゃないだけで、嫌いじゃない。
あるいは、嫌いとか好きの軸じゃなくて、ただただ苦手なのかもしれない。

言い換えよう。
夢を夢のまま消化できる大人が苦手だ。

「困ってる人の役に立ちたいから医者になりたいです」と言われるより、「年収5000万円稼ぎたいから医者になりたいです」と言われたほうが、よっぽどリアリティがある。
「社会貢献」?
クソくらえ、だ。
個々の欲望の果てに社会は生まれるものだろう、欲望の前になんで社会が存在するんだ。

そして僕はいつの頃からか、僕の言葉を使うとするならば……「抽象的レイヤーでの欲望に従って努力できる人たち」に、本能に近いレベルで嫌悪感……あるいは苦手意識を覚えるようになってしまったらしい。

発端は、多分高校時代にあると思う。


 

僕は「勉強してますよ」的な雰囲気を出してる奴らがことごとく嫌いだった。「頑張ってますよ」っていう雰囲気が大嫌いだった。
だって、君らが頑張ってる雰囲気出してる間に、僕は君らより圧倒的に良い成績取ってるんだよ?
徹底的な現実主義。あるいは合理主義。少なくとも勉強においては、それこそが僕にとってのファースト・プライオリティだった。

無駄、なれ合い。そんなものは邪魔でしかない。
ただただ、最短効率、最適なやり方で、最高の偏差値を取ればいいだけだ。
頑張ってるとか頑張ってないとか、そんなことはなんの関係もない。
頑張る理由?そんなもの、偏差値80を超えてから考えればいいのだ。

「頑張ってる」やつらの「頑張ってる」方法を、先生たちは勧める。
その方法はただのノイズだ。無視して、僕は誰にも追いつけないような成績を取る。

抽象的な「頑張り」を振りかざしてるやつに、僕は決して負けない。
僕は事実、勝ち続けている。

それでいいのだ。
それでいい。

……それで勝ててる、うちは。

……後々、気付く。

「抽象的な目標に愚直に向き合えて、努力できて、さらに効率的な方法を取れる奴らに、ただただ効率的な方法を取ろうとしてる奴は、一生勝てない」と。

気づいたときには、もう遅い。
効率と合理性を追い求めた人間に、抽象的レイヤーでの頑張る理由を探すのは、とても、とても、とても荷が重い。重すぎる。
なんでそんな抽象的レイヤーの目標で真っすぐに頑張れるの?
結局、君らは何がしたいの?

それはいつしか、僕の大きなコンプレックスになった。
そして僕は、僕がなにがしたいのかよく分からなくなった。

さて。
「抽象的な夢を語る大人」と、「非効率的な努力」を結びつけるここまでの議論に疑問を覚えられた方も多いかもしれない。
確かに本来、それらは明確に別軸で語られるべきものだろう。それ以前にそもそもそれらは本来、何の関係もない。

だが、社会人になってから気付いた。
社会人にとっては、「努力」の価値が学生のそれよりも急激に上昇する。「ちょっとでも」努力しているだけで、周りと大きな差がつく。

それこそ、「馴れ合いチックなものであったとしても」、努力に身を投じてる人間とそうでない人間が雲泥の差であることを、僕は大学以降で学んだ。
そして、大学を過ぎても少なからず「努力」を継続できる人間で、「抽象的レイヤーでの目標」を語れない人は、そうそういない。
少なくとも僕は、見たことがない。
彼らは、自分なりの「使命感」に準じて生きている。

僕はどうだ?
そんなものは微塵もない。持ちたくもない。

だから、頑張れないのだ。
あるいは、そんな言い訳を旗印にして、頑張らないのだ。

そんな自分が嫌いだった。
嫌いだった、……が。
最近は、それはそれで良いかと思うようになっている。

どうやら、僕のような人間は目立たないだけで途方もなく多いようだ。
その割に、僕のような人間はあまり声を上げない。
それもそうだ。
声の上げ方がわからないのだから。どっちに向かって声を出せばいいか、分からない。

ただ。
本当に不思議なことだけれど、ここに挙げたことをはじめとして、あらゆるものごと……特に非合理的なものごと、あるいは「馴れ合い」に属するような行動、あるいは具体性を欠く事象を冷笑してきたはずの僕の中には……
まったくもって不合理な、よく分からない情熱があった。

多分、その情熱はほぼ100%、怒りなのだと思う。

分からないことに対する怒り。興味を持ちきれないことに対する怒り。やり切れない怒り。

自由になれない、なりきれない、怒り。

その怒りは、やりきれなさは、うっすらと膜のように、夜の帳のように、僕の人生そのものに覆いかぶさっている。今も。
が、何度も言うように……
それはそれで良いのだ、多分。
こういう生き方しかできない。なら、こういう生き方を好きだと言ってくれる人を愛そう。こういう生き方を好きだと言ってくれる人に、愛されよう。
それで良いのだ。

さて。
あと2日で、令和だ。
平成が、終わる。

それをどこか冷笑気味の頭で眺める僕がいる。
天皇の代替わりも、いわば共同幻想だ。
実態的なものは、何もない。
何も変わらない。
平成31年4月30日11時59分59秒と、令和元年5月1日0時ちょうどの違いは、たったひとつ。「1秒の差」。それだけの話に過ぎない。

……だが。
その共同幻想から、連休が生まれる。活気が生まれる。カネが生まれる。自由が生まれる。愛が生まれる。何かが生まれる。

もしかすると、僕が冷笑してきた何かは、想像以上に何かを生み出していたのかもしれない。

……だったら、同時に。
僕のこの冷笑からも、何かが生まれているのかもしれない。
そうだ、それはいい考えだ。
その情熱の中に、僕は生きよう。
それはひとつの良いアイディアだ、きっと。

……平成が、終わる。
感慨深いとは思わない。

……。

……ごめん、嘘だ。
やっぱり感慨深いや。それがたとえどんな「共同幻想」に過ぎなくても。何かを生み出してるとか、生み出してないとか。そんなこと関係なく。

ひとつの時代が、自分が生きてきた時代が、終わる。

それは僕が決めたものではなく、誰かが決めたものだ。
でも、それを受け容れてもいいのかなと、僕は思う。
受け容れようが、拒絶しようが、それはやってくる。
平成が、終わる。令和が、来る。
次の時代が、来る。

僕はどう生きる?


とりあえずGSX-R1000欲しい。理由?世界一カッコいいからです。
カッコいいもの欲しいのは抽象的?共同幻想?いいえ、違います (理由なき断言)

f:id:Mistclast:20190429203602j:plain

http://www.suzukicycles.com/Product%20Lines/Cycles/Products/GSX-R1000/2017/~/media/9216339442A2418CB66B6101AFA88D9B.ashx


お読みいただきありがとうございます。
ではまた、変わらず、次の記事でお会いしましょう。

 

にわかファンがClariSというアーティストの魅力について全力で語る【後編】

こんにちは、Mistirです。

この記事は、

mistclast.hatenablog.com

の続きです。
いよいよ、今の僕が認識しているClariSの最大の魅力について語りたいと思います。
……とはいえ、先はまだまだ長いので、ClariSの曲を聴きながらまったりお読みください。

後期ClariS(2014-)のこと

アリスの脱退後、新メンバーとしてカレンが加入する。
wikipedia曰く、

アリスの卒業後、ひとりだったクララの練習に付き合っていたことから、クララに指名されてClariS入りが決まった

とのことだが……

そ、そんな馬鹿な……
何故って。

このカレン。
声質が、元メンバーのアリスによく似ているのだ。
その上で……

アリスにあった癖が少ない。
そして、端的に言って歌が上手い。(アリスと比べてどうこうという意味ではなく)

例えて言うなら、アリスが「背伸びしたお姉さん系」だとすると、カレンはストレートに「優しいお姉さん」だ。

……某バーチャルYouTuberに特定騒ぎがあったとき、印象的だったコメント。
「こんな天才が世の中に二人もいると思うと嫌だからこの人が中の人でいい」
……至言である。

今の僕も、それと全く同じ感想だ。
アリスとカレン。同じ音楽スクールにこんな天才が二人もいるわけがない。

……が。
とにもかくにも「新生ClariS」が誕生してしまったわけである。
そして、もともと歌唱力に脂が乗り始めていたクララと、「ストレートなお姉さん系」カレンのコンビネーションは、複雑な奇跡を呼び起こす……!

後期ClariSは割と最初から今に至るまで完成されているから、時系列はあまり気にせず語らせていただきます。

 

後期ClariSに「生まれてしまったもの」

過去の記事でも書いたのだけれど…… 

mistclast.hatenablog.com

鼻にかかった声で歌うクララは、どんどん歌唱力が上がり……
なんていうか。色気が半端ないことになっていく。
声の艶めかしさ、艶やかさが、「中学生ユニット」なんていう出自を完全に忘れてしまうほどに。
ソロ曲であるLast Squallを聴いていただければよく分かる。

Last Squall

Last Squall

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そして……
その艶やかさは。
裏に影を落としている。

そう。
初期には無かった……

「薄幸感」が、クララの声に生まれているのだ。


一方、カレンの大人びたお姉さんボイスは、その「薄幸感」を打ち消して……


……いない。


むしろ、カレンもどこか「薄幸感」がある。

この二人の薄幸感……なんなんだこれ!?
そして、明らかすぎるくらいにプロデュースサイドがそれに気付いている。

例えばこちら、「春」の曲を詰め込んだClariSのアルバムなんだけれど……

SPRING TRACKS ?春のうた?

SPRING TRACKS ?春のうた?

 

4曲のカバー曲のうち、後半の2曲。

松たか子の"明日、春が来たら"と……

明日、春が来たら

明日、春が来たら

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 松田聖子の"赤いスイートピー" だ。

赤いスイートピー

赤いスイートピー

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……
カバー曲4曲のうち半分が20年以上前の曲って凄くないですか?
赤いスイートピーに至っては40年近く前ですよ。

もはや「レトロフューチャー」というより「純レトロ」ですよこんなのw

でも、滅茶苦茶魅力的なんですよ……
試聴部分だけでもいいので、"赤いスイートピー" 聴いてみてください……
二人とも、似合いすぎている……
永遠の名曲とはいえ……

この大コンプラ時代に「タバコの匂いのシャツにそっと寄りそうから」なんて歌わせてここまで似合う若手アーティスト、いる?


そう。
この「薄幸感」は、あまりにも……
ClariSがもともと抱えていた「レトロ感」と相性がいい。

前期ClariSは「結果的にレトロ感が出てる」って感じでしたが、後期ClariSはもう「レトロビーム」みたいなのを製作サイド含めて僕らに全力で浴びせてきます。
ただ、後期ClariSの何が凄いって、それを意図的に抑えていることもある……

そう。
実は後期ClariSは前期よりさらにバラエティ豊かな技巧派になっています。
名盤:4thアルバム "Fairy Castle" について語りながら追いかけてみましょう。

一曲目の『AKIBA'S BEAT』テーマソング、"again"。

again

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前編で書きましたが、ClariSのタイアップは大別すると

  1. ラブコメ作品とのタイアップ
  2. バトル要素のある作品のタイアップで、ラブソング寄りの曲
  3. その他のタイアップ

というイメージです。

それでですね。
僕はですね。

……2に属する曲が、好きで好きでしゃあないんですわ……
しかも、このアルバムには2に属する曲が2曲も含まれている。
※タイアップ収録曲"アネモネ"はClariSに珍しいねっとりした百合曲なのですが、明らかにアニメの内容を意識している曲のようで、『Classroom☆Crisis』未視聴なので触れておりません……

"again" は疾走感の中に、「薄幸感」……言い方が悪いので、「影」という言い方に変えましょうか。
疾走感の中に、少し影を潜ませながら、レトロな旋律を歌い上げる屈指の名曲。
最も好きな(以下略)です。


そしてこのアルバムに含まれるもう一曲の"2に属する"曲。
それが……
『クオリディア・コード』 ED1 "Gravity" 。

Gravity

Gravity

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あー、もうホントこの曲好きすぎる……
だんだん疲れてきてるのか語彙力が減ってる気がしますが、最後まで駆け抜けます。
(前編と後編、ぶっ続けで書いてます……)

疾走感を通り越して、「浮遊感」すら感じる一曲。
何がこの曲凄いって、"again" にあった「影」や「レトロ感」がほとんどないんですよ。
ClariSというアーティストがベースとして持っている「影」はもちろん出てるんですが、それでもagainよりだいぶ抑えられている。

そして、熱いのに、あくまでもクールに歌い上げている。

……そう。
前編で触れました、エモと非エモの間を行き来する曲」の究極形態……集大成のひとつなんです、僕にとってこの曲は。
"グラスプ" が好きな時点で僕はそういった曲が個人的に大好きなんだろうと思うんですが、もうホント、その観点で言うとこの曲はたまらない。

で、ですよ。
この"Gravity"を挟む2曲が本当に面白い。

"Gravity"の前にある曲、"ウソツキ"。

ウソツキ

ウソツキ

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これもエモと非エモの間を行き来する曲」なんですが、ちょっと「エモ」寄り。
クララの色気とカレンの優しさ、二人の「影」がこれでもかってほどに詰められた一曲。

そして"Gravity"の次の曲が……
 

recall

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これ、ぜひフルで聴いてほしいのですが……
あまりにもコッテコテすぎる小室サウンド過ぎて、もはや笑えます。
全盛期小室哲哉をさらにコッテリさせたような曲というか。
これ、2017年の曲ですよ……

前編で語った

  • ちょっとシュールなレトロポップ

というよりは、もうなんか……
「まんまやんけ!」っていうレトロソング。


しかもそれを歌い上げるClariSがあまりにも「堂に入って」いる。
タイムトラベルでも経験してんのかよ……

……ちなみに。
散々絶賛してる"シニカルサスペンス" の直前に、インスト曲が挟まるんですが……
その曲が、

Time Tunnel

Time Tunnel

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凄い確信犯ですw 笑うしかない。

さて、時系列はあまり気にしないとはいえ飛び過ぎなので4thアルバムの時期の話に戻ると……

アニメ:『Classroom☆Crisis』タイアップ曲の"アネモネ"のB面のこの曲。 

YUMENOKI

YUMENOKI

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これ初めて聴いたとき、滅茶苦茶笑いながら「あっwwwwwこの曲wwwwwwwすげぇ好きwwwwww」ってなりました。

  • ちょっとシュールなレトロポップ

ど真ん中で、何より二人の「影」がすげー良い感じに活かされてるんですよ。
で、

  • エモと非エモの間を行き来する曲

って観点だと、サビ前のクララの「いつも」〜サビの適度な力の抜け方が、すっっっっっっっっっっっっごく良い。

この力の抜け方、「貫禄」としか言いようがない気がするんですよ。
冷静に考えたら、もうこの時点で5年目のプレイヤーですし、もうすぐ10年なんですよね……そりゃ熟成しますて。

この「肩の力の抜けた『貫禄』」のおかげで、ClariSっていうアーティストは凄く親しみやすいんです。
いつも引き合いに出すんですが、僕はGARNiDELiAというアーティストも好きです。
で、このGARNiDELiAというアーティスト、「貫禄」の方向性がClariSと真逆なんですよ。


GARNiDELiA 『SPEED STAR』-YouTube EDIT ver.-

ClariSを柔のアーティストだとすると、明らかに剛のアーティストと言うか。

ClariSを延々と聴き続けてしまうのは、多分この「肩の力の抜け方」にあるんだと今は思ってます。

さてさて。
ここまであまり語ってなかった

  • とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパン

サンリオとタイアップした不思議な一曲、"Prism" もここに入ると思っています。

Prism

Prism

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で、なんで僕が前編で解説したときにわざわざ「とにかく可愛い!!」の文言を入れたかっていうと……

後期ClariS、この方向性の曲を出すときは、びっくりするくらいに「影」を封じ込めてるんです。
「え、そんなことできるの?」ってレベルで。

上に挙げたPrismもそうなんですが、一番強烈なのが……
アニメ『終物語』ED "Shiori"のB面、こちらの曲。


春奈るな 『アイヲウタエ Music Video』

こちらは原曲です。
ClariSファンの方も、まずは原曲を聴いていただきたい。

『カゲロウプロジェクト』でも有名なじん氏のプロデュースした一曲なのだけれど、ちょっと重めのギターとストリングが、疾走感を持って春奈るなの安定した歌声をサポートする……そんな曲だ。

で、こちらがClariS版。 

アイヲウタエ

アイヲウタエ

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……いや、これ……
できれば試聴部分だけじゃなくてイントロから聴いていただきたいのですが……

ClariS版を聴いてしまうと、原曲がちょっと重い愛を歌った曲にすら聞こえてしまう。
ClariS版のビッグバンドアレンジが上手く作用しているというのはもちろんあるのだけれど、それ以前に、これはもはや……

”kawaii”の暴力なのでは。

そうだ、これは"kawaii" の暴力だ。

  • エモと非エモの間を行き来する

どころか、エモの部分を最大限に抑えて、そのステータスを全部"kawaii"に振り切っている……!
余談。ほぼ影はないんだけどClariSが歌うとなんか「このあと失恋しそう」感があるの、やっぱアーティストとしての個性かな……

あとこれも余談ですが、フル版のCメロ、クララのソロパート、「あの日あの時に〜涙を隠しながら」の部分、色気が隠しきれてないのが最高です……
……なんかただの声フェチの感想文みたいになってきたな……

で、この先にあるのがこの名曲ですよ。

ヒトリゴト

ヒトリゴト

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ClariS 『ヒトリゴト』Music Video(Short Ver.)

 

はい、kawaiiの暴力。

これ聴き込んだ後に、デビューシングルの"irony"聴き直してみると、滅茶苦茶初々しくて、ちょっと野暮ったいんですよ。
もうそんな面影なんか微塵もなくて、「貫禄のアーティスト」としか言いようがないくらい完成してる。

……何度でも言うけど、よくこの状態のクララに引けを取らないカレンみたいな逸材見つけてきたな……

ちなみに、"irony"もセルフカバーしてるけど……


ClariS 『irony -2017-』リリックMV(Short Ver.)

 

irony -season 02-

irony -season 02-

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初めて聴いたときの印象、正直に言うと……
「うわああああああ本人より上手いそっくりさんんんん!!!」でしたw 

なんだろう、原曲にあった野暮ったさや不安定感が消えるとこうなるのかというか……

原曲が等身大中学生の気持ちを歌った曲だとすると、セルフカバーはなんていうか、高校生とか大学生になってから中学生の頃を思い出しながら歌ったくらいの差がある。
個人的にどっちが好きかと言えば、正直今のClariSの母性安心感に凄く惹かれてるので、セルフカバー版かなっていう感じです。

……さて。

最新アルバムである"Fairy Party"の全体像 については過去記事で散々語ったのでスキップするとして。

mistclast.hatenablog.com


さあ、やっとこさ結論の一曲について語りましょう。

ClariSは、○○である。 

シニカルサスペンス

シニカルサスペンス

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 さて、改めて並べてみると

  1. とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパンチ
  2. ちょっとシュールなレトロポップ
  3. エモと非エモの間を行き来する曲

のうち、1はタイアップ曲によく見られる特徴として……
非タイアップ曲に2や3の傾向がよく見られる。

で。
この"シニカルサスペンス"という曲……
2と3の要素、それからこの記事冒頭で語らせていただいた「影」(薄幸感)、そしてプロデュースサイドでゴリゴリ推し進められる「レトロ感」……
全部全部あるだけ詰め込みましょう、という曲なんです。

過去記事で「昭和歌謡かよ!」って突っ込んでるんですが、やっぱり何度聴いても昭和歌謡にしか聞こえない……

そしてあまりにも中毒性が高い。
クララの声の艶めかしさは特にコブシを効かせているわけでもないのに、何故か演歌風に聞こえてしまう。
それに応じるカレンの落ち着いた声。

……この"シニカルサスペンス"について考え続けて。
僕の頭に。こんな言葉が浮かんでしまった。


ClariSは。
可愛すぎる未亡人である。


……。


……大丈夫かな、これ。ファンに夜道で刺されない?

……いや、でもですよ。
"シニカルサスペンス"、貫禄も色気も雰囲気も全部ありすぎて、これもはや未亡人のそれですよ。
言い換えると、もうなんか表現力とかがオーバーフローしてて、二人とも旦那さん亡くなってるくらいの経験してんじゃないの……?くらいのレベルに達してると言うか。

……そういえば「未亡人」って放送できない用語らしいけど、まぁそれは忘れてください……

はい。
前編と合わせて14000字くらいになりましたが、「ClariSは可愛い未亡人」、このクソしょうもない一言を伝えるためだけに全力を出したらこうなってしまいました。

ちなみに。

"シニカルサスペンス"の次の"Fairy Party" に移行する時に


ClariS 『Fairy Party』MusicVideo(YouTube EDIT)

Fairy Party

Fairy Party

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プロデュースサイドの「…やり過ぎた…」って心の声が聞こえるのは僕だけでいいです。
むしろ「いいぞもっとやったろ」って感じなんでしょうか。どうなんでしょうか。
少なくとも、"シニカルサスペンス"直後に"Fairy Party"を置いたのは(いい意味での)釈明に聞こえると言うか……


僕としては、このメッセージだけをお送りしたいです。



いいぞ
もっと
やれ

 

 

 

まとめ

なんていうか、語りきった感あります。
この記事で触れきれなかった曲は多いのですが、それはまたいつの日か。

僕は繰り返すように「にわかファン」なので、ディープなファンの方からご意見ご感想等いただけると励みになります。

お読みいただき、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

にわかファンがClariSというアーティストの魅力について全力で語る【前編】

こんにちは、Mistirです。

昨年の7月か8月頃、Apple Musicで配信されていたのを偶然目にした、アニメ『はたらく細胞』のOP、"CheerS" をダウンロードしてみたことがClariSというアーティストとの出会いだった。

つまり、まだClariSというアーティストの曲を深く聴くようになってせいぜい半年強しか経っていない"にわか"ファンなのだが、正直……

ここまでハマるとは思っていなかった。

仕事がweb系のシステムエンジニアということもあり仕事中や通勤時間、あらゆる時間に音楽を聞き続けている。
ここ半年以上、Apple Musicでいろいろなアーティストの曲を聴いているが、時間で言うならばClariSの曲を聴いていた時間が他のアーティストの曲を聴いていた時間より圧倒的に長い。

とりあえず今のところリリースされている全てのアルバムとシングルを聴き込んでみて、なぜここまでハマってしまったのか考えてみた。
すると……
ある結論に思い至った。

……もったいぶるようだが、ClariSというアーティストについて、「その結論」に向かって語ろうと思う。

ClariSはデビューからもうすぐ10周年。ファン歴半年の僕など「にわかファン」にも程がある。
だから、ディープなファンの方は「こういうことを考えながら聴くファンもいるんだな」という程度にお読みいただきたい。
そしてもし明確な誤りがあれば、優しくご指摘いただけると嬉しい。

また、以前最新アルバムの"Fairy Party"について全曲レビューさせていただいているので、こちらの記事もお時間のある際にお読みいただけると嬉しい。

mistclast.hatenablog.com

 

この記事で語りたいこと

もし僕が「一番好きな曲」ではなく、もし今のClariSの「全て」が詰まった曲を一曲挙げろと言われたら……

最新アルバムの後ろから2曲目の一曲。
"シニカルサスペンス" だと思っている。

シニカルサスペンス

シニカルサスペンス

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(初めて使ってみたけどiTunesのリンクだと気軽に試聴できるから良いね)
 
ファンの方は「え?それなの?」と思われた方も多いかもしれない。
だが。
この一曲こそ僕がこの記事で語りたい「ある結論」を最も体現している一曲なのだ。

そのためには、時系列順にClariSというアーティストが辿った足跡を追いかける必要がある。猛烈に長くなるがご容赦ください。

前期ClariSについて

便宜上、2014年のメンバー:アリスの脱退までを「前期ClariS」と呼びたい。
必然的に2014-2019年のClariSを「後期ClariS」と呼ぶことになり、解散したアーティストを扱うようになってしまうが……
どうしても2014年前後について、分けずに語るわけにはいかないのだ。
ご容赦いただきたい。

なぜなら、たったの半年聴いた僕でさえ「アリスの脱退」というファクターの影響度があまりにも大きいものであったことが分かるからだ。
ファンにとっての影響は計り知れないものだったと察する。
そして、その前後の違いについて避けて語ることは、「ClariSというアーティストについて語らないこと」と等しいと思っている。

ということで、まずは「前期ClariS」について語らせていただきたい。

ClariSは、今に至るまで女性二人組のユニットだ。
前期のメンバーは、少し鼻にかかった声で歌うクララと、やや大人びた声質のアリス。
そんな二人のデビューシングルは、アニメファンなら必ず一度は聴いたことがあるであろう……

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』OPの"irony"だ。

irony

irony

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名曲である。

そして、"前期ClariS" の特徴がこれでもかと詰まった曲だ。

クララというアーティストについては追々語るとして……
アリスは、結構不思議な歌手であるように思う。

クララより明らかに大人びた声質。
だけど、良くも悪くも少し不安定なのだ。

例えば『魔法少女まどか☆マギカ』劇場版のテーマソング "ルミナス" のサビ前の部分を歌っているのがアリスだけれど……

ルミナス

ルミナス

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伸ばす低音にちょっと癖があるというか。

そしてこの頃は、クララも「十分な歌唱力がある」とはいえ、「抜群な歌唱力を誇るアーティスト」という感じでもない。

……気を悪くされたファンの方もいるかもしれませんが、誠実に語ることをお約束するので、最後までお読みいただけると嬉しいです。

さて、そんな二人組のユニットから結果的に何が生まれていたのかと言うと……
ちょっと背伸びした等身大中学生アイドル、というイメージだ。

意図的にClariS最大のスマッシュヒットである"コネクト"を後回しにするが……

"ちょっと背伸びした等身大中学生アイドル"、というイメージを念頭に置いて考えてみると、"irony"や『偽物語』のEDである"ナイショの話"には凄くぴったりなイメージだと思う。

ナイショの話

ナイショの話

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なんというか。
凄く懐かしくなって、少し切なくなる。
それは僕がアニメオタクだからというだけじゃない。
間違いなく、ClariSのプロデュースサイドの「確信犯」なのだ。
※正しくは故意犯?細かいことは気にしない

ClariSはいつからか “新感覚☆レトロフューチャーポップユニット” というキャッチコピーで売られていたようで、この「レトロフューチャー」というキャッチコピーはなんというか……
ものすごく、奥深いキャッチコピーなのだ。
まるでClariSの10年後を先読みしていたかのような、恐るべきキャッチコピー。
この「レトロ感」はかなり様々な要素が複合して生まれているもので、かなり複雑なものだと僕は考えている。

少なくとも、前期ClariSに感じる「レトロ感」の正体は……
「ちょっと背伸びした感」が醸し出す「昔のアイドル感」であると、僕は分析している。
十分なクオリティなのに、どこか等身大で、懐かしい気持ちにさせてくれる。
そして、そんな二人を最大に活かすため、平成初期前後を意図的にリスペクトしたようなアイドルチックな名曲がどんどんプロデュースされていく。
そんな二人の歌に、僕らは恋をしないわけがない。
なんていうと、少し大げさだろうか。キモいって言わないで

例えば"ルミナス" B面の"Friends"なんてもうまさにそのど真ん中の曲だ。

Friends

Friends

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はい〜青春〜!!!
圧倒的青春の雷雨が僕を打ちひしがれさせる!!!!

それから、"Wake Up"のB面、"泣かないよ"

泣かないよ

泣かないよ

  • ClariS
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泣かせるなよ。

さて。
意図的に"コネクト" を後回しにしたが、実のところ"コネクト"……というか、『まどマギ』のタイアップ曲が、ClariSを語る上では少し語りにくいのだ。
ClariSのタイアップ曲は大別すると、

  1. ラブコメ作品とのタイアップ
    (『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の"irony"、 『ニセコイ』の"CLICK"などめちゃくちゃ多数)
  2. バトル要素のある作品のタイアップで、ラブソング寄りの曲
    (『AKIBA'S BEAT』の"again"、『クオリディア・コード』の"gravity"、『BEATLESS』の"PRIMALOVE")
  3. その他のタイアップ
    (『もやしもん リターンズ』の"Wake Up"、『はたらく細胞』の"CheerS")
    ※『はたらく細胞』はバトルアニメ?知らぬ

という感じだが、まどマギ系のタイアップ曲はどこにも属しておらず、「まどマギ系の曲」というジャンルとして語るしかないのである。
「その他」に分けるにはちょっと存在が大きすぎるし。

強いて言えば、後期ClariSの『クオリディア・コード』ED3である"clever" も分類不可能なのだが、コラボ曲のためか前期の文脈でも後期の文脈でも浮いている曲なので、少し避けたい。

clever

clever

  • ClariS×GARNiDELiA
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ちなみに名曲か名曲でないかで言えば、超絶ウルトラ名曲である。 
ひねくれたドライな歌詞と熱さ、シニカルでいて、同時に熱苦しい。
これを神曲と言わずしてなんと言う。もう百回は聴いた。

……時系列順に語ると言っとるだろうが!!!!!(戒め)

全然前に進まないので、『まどマギ』タイアップの話に戻らせていただきます。

『まどマギ』タイアップの曲は主に三曲。
"コネクト"、"ルミナス"、"カラフル" だ。

コネクト

コネクト

  • ClariS
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ルミナス

ルミナス

  • ClariS
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カラフル

カラフル

  • ClariS
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 「主に」と言ったのは、これに追加して「まどかの裏テーマソング」である "プロミス" がファーストアルバムである 『BIRTHDAY』に収録されているからだ。

Promise

Promise

  • 広瀬香美
  • J-Pop
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ゲッダン!
冗談です。こっちです。 

プロミス

プロミス

  • ClariS
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で、これらの三曲 + 1は……
どれも超名曲なんだけど、ClariSというアーティストの中で今に至るまで「例外」の三曲だと思っている。


どれもこれも、完成されていて、もうClariS以外が歌うことなんて考えられない。
にも関わらず、少なくとも僕の印象では……ClariSというアーティストを時系列順に聴いていると、……
「ClariSの真骨頂」という感じではないのだ。

……否、違う。
これはこれで真骨頂なのだ、確実に。
だけど……

例えて言うならば。
"irony"が好きな方には
「え!? "reunion" も "ヒトリゴト"も聴きましょう!ハァハァ……」
キモオタクムーブメントをキメられるのだが、"コネクト" が好きな方には
「ClariSを全部聴きましょう!!!!!!」
としか言えないというか。

「じゃあお前が思うClariSってなんなんだ?」と言われたら難しいんだけど……
ここから話をわかりやすくするため、「レトロフューチャーユニット」としてのClariSを3つの軸で語りたい。

前期ClariSから貫かれる3つの軸

僕の思うClariSの3つの軸とは……

  1. とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパンチ
  2. ちょっとシュールなレトロポップ
  3. エモと非エモの間を行き来する曲

1, 2はともかく3はなんやねん!と思われたことだろう。
ゆっくり解説させてほしい。


1はわかりやすいだろう。
先程挙げた "ナイショの話"もそうだし、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『ニセコイ』のタイアップ曲はここに分類される。

2は、セカンドアルバムに収録された"ダイアリー"から始まる。

ダイアリー

ダイアリー

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この曲から、「どこか不思議で、どこか懐かしい、ちょっとシュール(超現実的)な」曲がアルバムやシングルB面にちらほらと見え始める。
中毒性が凄い(小並感) 曲。
時系列順にそういった曲を並べていくと、どんどんどんどん脂が乗っていくのがよく分かるのだ。

そして、このアルバムのラストナンバーはまたしても『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のタイアップ曲 "reunion" なのだけれど、

reunion

reunion

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このアルバムの「エンディング曲」は……
その一曲前に収録された曲だと思っている。
ClariSというアーティストの中で、最も僕が好きな曲(10曲くらいある)の中の一曲だ。

その曲の名は……

グラスプ

グラスプ

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試聴グッジョブ!!!!!
サビ丸々収録ありがとう!!!!!

これが3.エモと非エモの間を行き来する曲の最初の一曲だと思っている。
解釈次第では、『まどマギ』系の曲はここに分類しても良いかもしれないけれど、やっぱり僕の中ではあの3 + 1曲は独自ジャンルっていうイメージが強すぎて、ちょっと保留で。

さて。
僕がここで言う「エモ」は、「エモい」という言葉とはちょっとだけ離れた、「感情が乗っている(エモーショナル)」という意味だ。
お分かりだろうか?この曲は、エモーショナルだ。確実にエモーショナルなのだ。
だが、エモーショナルになりすぎる一歩前に踏みとどまっているというか……!
そう、エモーショナルなんだけど、エモーショナル過ぎない。
この絶妙なバランス。

……僕は。
この辺りから、ClariSというアーティストに「貫禄」が生まれ始めていると考えている。

「貫禄」。
これは非常に難しい言葉だ。

例えば、歌唱力によってもたらされる「貫禄」もある。
『魔法使いの嫁』OPなんて、「歌唱力がもたらす貫禄の暴力」だ。台風だ。地震だ。


JUNNA 「Here」Music Video (short ver.)


だが、僕が言う「貫禄」は全くの別物。
なんというか、アーティストとしての……「脱皮」みたいなイメージ。

話がまた転がるが、僕は個人的にClariSに一番似ているアーティストは宇多田ヒカルなのではないか?と思っている。
そんな馬鹿な!と思われた方も多いかもしれないが、宇多田ヒカルも15歳でファーストシングルを出しており、後になるほどちょっとプログレッシブな要素のある名曲をアルバムでどんどん排出している。

宇多田ヒカルに深入りするつもりはないが……
この「最初から十分完成されていたのに、熟成とともに別の貫禄が増して、新たな魅力をどんどん提供してくれる」点は、確実にClariSが持っているものだ。

それを「これでもか!」ってほどぶつけてくれる曲が。
3rdアルバム、"PARTY TIME"のリードナンバー……

Time

Time

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  • ちょっとシュールなレトロポップ
  • エモと非エモの間を行き来する曲

のどちらの要素も非常に強く持っている一曲。
ClariSというアーティストの中で、最も僕が好きな曲(10曲くらいある)の中の一曲だ。
二回目だなこれ。

試聴部分だけでもお分かり頂けるだろうか?
この「だんだん貫禄が増してきてる」感……!
単純にふたりとも歌唱力が上がってるし、プロデュースサイドもClariSの魅力をどんどん掘り下げていってくれている。

【追記】
3rdアルバム、"PARTY TIME"のリードナンバーは、公式にはこちらだそうです。

RESTART

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確かに卒業アルバムとして見るなら、こっちが確実にリードナンバーですねw
また、リードナンバー扱いするには"Time"はマニア向け曲というか……
【追記ここまで】


これは極めて主観的な感想に過ぎないが、ClariSのプロデュースサイドは、ClariSの正真正銘の大ファンなのだと思う。


ここで1.の

  • とにかく可愛い!!ラブコメタイアップを中心としたラブソングや、青春ストレートパンチ

にちょっと戻ってみる。
あまり有名ではない名曲だと、"reunion" シングルB面のこちら。

ミントガム

ミントガム

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あぁ〜青春…… 
初期の青春ソングより明らかに「背伸び感」が良くも悪くも減っていると言うか、……なんかもう、安心感がある。母性すら感じる

だが、そんな脂が乗ってきたところで、残念ながらアリスの脱退により、前期ClariSはこのアルバムがラスト・アルバムになってしまう。
そんなラスト・アルバムの、エンディング曲。

2ndアルバムのラスト・ナンバーはタイアップ曲の"reunion" だったことはさっき触れた。
だが、3rdアルバムのラスト・ナンバーは正真正銘の非タイアップ曲。
そして……
正真正銘の、「エンディング曲」だ。

Orange

Orange

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もうね。
これを名曲と呼ばないなら、この世に名曲なんて存在しない。
これは本当にフルで聴いてほしい。聴くべきだ。聴いてくれ。

……失礼、取り乱しました。礼を正します。

いや、この曲の何が良いってさ……
Cメロ後、Cサビのアリスソロパートですよ。
「たくさん泣いて たくさん笑った」のとこ。


ここ。ファン歴たったの半年の僕が聴くたび泣きそうになるんですよ。
っていうか今現在進行系で何回も聴き直して、泣いてますよ。
いったいどれだけのファンを泣かせたんだ。


最初、アリスは声が不安定って言ったじゃないですか。
でも、もう上手いとか下手とか、安定しているとか不安定とか、もうそういうベクトルのものですらないんですよ。
もうここの高音は、絶対に、絶対にアリスにだけのものなんですよ。
前期ClariSの、明らかな集大成の一曲。

……。

丸"山"ざぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ” ん"!!!!!!("orange"の作詞作曲編曲担当である丸山真由子氏、稀代の名曲メーカー)

……

丸"山"ざぁ”ぁ”ぁぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ” ん"!!!!!!

……本当に、ありがとうございます。本当に……ありがとうございます。
いつか届いてほしい。ありがとう。本当にありがとう。

……
……ふう。ちょっと冷静になります。

さて。前期ClariSについて語ったら6700字になりました。
これは……うん、一気に書くべきじゃないですね。

以前吉井和哉について語ったとき、1万2千字になったのですがそれを超えそうです。

mistclast.hatenablog.com

↑この記事、長すぎてロードに時間かかるんですよ……

さすがにそれはマズイので、前後編に分けます。
まだ語りたいことの半分も語れていない。

後編もぜひお読みください。
【追記:公開しました】

mistclast.hatenablog.com

 
お願いいたします。

お読みいただき、ありがとうございます。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

ねんどろいどぷち ClariSセット irony.verA (ノンスケールABS&PVC 塗装済み可動フィギュア)

ねんどろいどぷち ClariSセット irony.verA (ノンスケールABS&PVC 塗装済み可動フィギュア)

 

 

 

『けものフレンズ(初代アニメ)』が好きだった人にとって、何が「地雷」なのか

こんにちは、Mistirです。

最近注目している漫画がある。

裏サンデー(マンガワン)で連載している『あーとかうーしか言えない』だ。

www.urasunday.com

 

あーとかうーしか言えない (1) (裏少年サンデーコミックス)

あーとかうーしか言えない (1) (裏少年サンデーコミックス)

 

エロ漫画家と編集を取り巻く物語なんだけど、空気感が凄く独特で、ともすると作者のこってりした創作論に踏み込んでしまう……という「編集者マンガ」というジャンルで、臭くならない一歩手前のなかなか見事なバランス感覚で描かれた漫画だ。

作者の人柄と作品の評価は分けるべきなのだけれど、「明らかにこの作者良い人だよねぇ」って作品があって、この作品はそんな作品だ。
他の例として『鬼滅の刃』や『宇宙兄弟』なんかも絶対に作者が良い人すぎる例だと思ってる。

閑話休題。

今日こんな記事を書こうと思ったのは、この『あーとかうーしか言えない』のコメント欄が軽く炎上していたからだ。

作者何を言ったんだ?と思ったら。

おお……
見事に地雷を片っ端から踏んでやがる……
逆にここまで的確に地雷を踏み抜くのは見事だ。

……多分、悪意はないんだろうなぁ。

おそらく。
作品「外」にまつわるエトセトラがあまりにも入り組みすぎてて(制作がモメてることとか、Twitterで監督が燃えてることとか)、そこから『けものフレンズ2』が不当に貶められてるんじゃないか、と先生は思ったのかもしれない。
だけど、……あまりにも、……言ってはいけないことを言ってしまっている。

考えた。
最初の発言が「幾つかある地雷を片っ端から踏み抜いている」と感じた理由。
そうすると、『けものフレンズ2』という作品が炎上していた一端が少し見えてきた気がした。

そりゃもちろん、『けものフレンズ』(たつき監督の初代アニメ、以下 "けものフレンズ1 or 単純に1" と表記) 信者が暴走してるだけだとか、そういった言葉で片付けることは簡単だ。
あるいは「1は優しい世界を描いていたのに、2では制作陣もストーリーもギスギスしすぎている」というのも事実だろうし、それだけで話を終わらせてもいいだろう。

だけど、僕はもう少し語りたい。
そして願わくば、近藤先生みたいな発言を「してしまう」人が一人でも減ってほしいと思う。

この問題は結構根深くて、うかつに口を出せば『けものフレンズ1』のファンが一斉に反発する。その結果、『けものフレンズ』という作品自体が嫌われていく……
なんて、ちょっとバカバカしい。

『けものフレンズ1』のファンは、正直『けものフレンズ2』に怒っていると思う。
何故ここまで「怒る」のか?
その感情に少し踏み込んでみても良いと思う。

さぁ、語ろうか。

この記事は、ひねくれたラブレターだ。
誰に対する?
それは最後までお読みいただければ分かる……かもしれません。

 

そもそもお前誰

こんにちは、はじめての方ははじめまして。
Mistirと申します。

忘れた頃にブログをたまに書くだけの人間です。

『けものフレンズ1』が放送された頃、4話のあたりで書いたこの記事が異様にバズりました。 

mistclast.hatenablog.com

お時間ある方はお読みいただければ嬉しいのですが……
12000字くらいあります。

内容も4話段階のものなのでちょっと古いです。

ということで、かなりざっくりと『けものフレンズ1』があれほど流行した理由をまとめてみると……

……。

その前に。

僕らオタクが好きなもの

大前提として、言っておきたいことがあります。

オタクは。
僕らは。

ギャップ萌えに、弱いです。

そりゃまあ例外もあるかもしれないけど、「物語・コンテンツ・エンターテイメント」について考えるならば、「ギャップ萌え」的な要素は「必須」だと思ってます。

例えば。
「魔法少女モノなのに、可愛さよりえぐさが勝ってる」とか。

 「まごうことなきクソなのに、声優めっちゃ豪華」とか。

ポプテピピック (バンブーコミックス WIN SELECTION)

ポプテピピック (バンブーコミックス WIN SELECTION)

 

「子供向けのはずなのに、ギャグがおっさん向け」とか。

 「見た目めっちゃ古いのに、中身は最新最先端」とか。

f:id:Mistclast:20190404165336j:plain

Z900RS・Z900RS CAFE | 株式会社カワサキモータースジャパン


……最後別の趣味が混入しましたね。ごめんな。

とにかく、オタク趣味というもの……あるいは「オタク」という業を背負った存在を考えるときに「(その対象自体が示す)アンビヴァレンス」という要素は欠かせないものだと思っている。

その文脈で言うならば。

『けものフレンズ1』ほど「アンビヴァレンス」を手玉に取った作品は、そう存在していなかった。

まるで日本引きこもり協会NHKで朝に放送しているかと思わせてくるくらいの、ほのぼのとした……
あえて悪く言ってしまえば、「子どもっぽい」作品のノリ。

そのノリを損なわないまま、骨太のロードムービーと、これでもかというほどの不穏さ、そして不穏さを覆すカタルシスをすべて打ち込んできた、今思うと「オタクの好きなもの全部盛り」みたいな作品だ。

これに関しては「実際に見て頂くしかない」くらい上手くやってる。
正直、『けものフレンズ1』全12話の神経質っぷりは徹底的すぎて凄まじいと未だに思ってて、それは言い換えればエンタメ作品で必須の「テーマに対する真摯さ」でもある。
※「作品とテーマの結びつき」という点に関して言えば、僕の知る限り『 STEINS;GATE 』が頭一つ抜けているのですが、お時間あればこちらの記事をお読みください。

mistclast.hatenablog.com


『けものフレンズ』の話に戻る前に、もうちょっと「わかりやすい」話をしよう。

「一種の稚拙さと不穏さ」をあまりにも高度にまとめ上げた名作アニメとして、僕は『けものフレンズ』よりもう少しわかりやすい作品を知っている。

『ウマ娘 プリティーダービー』です。

anime-umamusume.jp

……このアニメに対して「一種の稚拙さ」という表現を使ったことでイラッとされた方も多いかもしれない。
そう、見てない方にはにわかに信じられないかもしれないが、このアニメはそれくらい多くのファンが「深い思い入れ」を持ってしまったアニメなのだ。

どんなアニメかというと……
「実際に存在した競走馬が美少女になって走る」っていうアニメである。
しかも、勝った馬(美少女)はレース後にライブで歌う。

……冷静に考えよう。
客観的に、考えよう。




こんなもん大人が見るものとちゃうて!!!!




……待ってほしい。
もう少し先までお読みいただきたい。

僕は、オタクという存在を愛している。オタク趣味を愛している。
それでも、言う。



こんなもん大人が見るものとちゃうて!!!!



……そして、同時にこうも言う。


……それを真剣に見るから……
面白いんだろうが!!!!!


そんな「心意気」に応えてくれる、答えてくれる作品を。


僕らは「名作」と呼ぶ。

『ウマ娘』の話に戻ろう。

『ウマ娘』に登場する主要登場人物(馬?) に……
「サイレンススズカ」という馬が存在している。

anime-umamusume.jp

f:id:Mistclast:20190404171213p:plain


かわいい。

で、現実世界で、このサイレンススズカは……
不慮の事故で、非業の最期を遂げている。

僕は競馬ファンではないのだが、アニメ放送時に興味を持っていくつかサイレンススズカに関する記事を読んでみた。

ch.nicovideo.jp


いくつか読んだのだが……どの記事も、途方もない「熱」を感じた。真剣に読むと、目頭が熱くなってしまうほどに。

「もし武豊さんが『武豊&ディープインパクト』と対戦できるとしたら、これまで数多く乗ってきた優駿の中で、打倒ディープとしてどの騎乗馬を選びますか?」
その質問に武豊は一頭の馬の名をあげた。

その馬の名はサイレンススズカ。

「ウマ娘」というコンテンツは、一見どうしようもないおふざけアニメに見える。
初見だと誰もがそう思っただろう。

が、「サイレンススズカ」という伝説を扱う以上、ふざけたまま終わるわけにもいかない。

全く史実通り描くと、……もはや誰も望まない物語が生まれてしまう。
もし史実を無視するなら、茶番だ。

そんな高いハードルをどのように超えてきたのか?

直接語るとネタバレになってしまうから、その周辺のことを語ると……

基本的に「ウマ娘」というアニメは史実に忠実に進められてきたアニメだったのだが、ところどころ明らかに史実と異なる内容を入れていた。
(これはニコ動で観たときにコメントで知った)

少しずつ史実とズラしつつ、史実の大きな流れとはズラさない。

そういった技巧で、先が読めない展開を演出していた。

もしお時間があれば『ウマ娘 プリティーダービー』はぜひご覧いただきたい。
最初ただの悪ふざけと思っていたアニメが、一種の大河ロマンに変わっていく感動を味わえるから。

第1R 「夢のゲートっ!」

第1R 「夢のゲートっ!」

 

 


…………。







なんの記事だこれ!?



…………。
けものフレンズの話に戻ります。

とはいえ、戻る必要もないくらいに言いたいことは伝わっていると思う。

そう、確かに『けものフレンズ1』は「子ども向け」……厳密に言えば、「子ども向けであってもおかしくない」、あるいは「子どもでも安心して観られる」作品だったと思う。

だが、そんなことは何一つ関係ないのだ。
大事なのは。
「圧倒的繊細さで、骨太のロードムービーと、不穏さと不穏さを覆すカタルシスを詰め込んできた」……その上でさらに。

「最初から最後まで、圧倒的包容力と、世界の優しさを失わなかった( = 静的に紐付けられたテーマに対しての態度が徹底的に一貫していた)」

という、作品の特異性が、あまりにも特筆すべきものであることだ。
その特筆性は、否応なく僕らの……オタクの、あるいはアニメファンの、あるいは疲れた社会人の心をガッツリと掴んだ。

逆は、比較的多いのだ。

「最初は平穏でゆるふわな世界が、悲惨な崩壊を遂げる」。

最初に挙げた『魔法少女まどか☆マギカ』もそうだし、他に有名なところだと『ひぐらしのなく頃に』あたりもそうだろう。その気になれば幾らでも挙げられそうだ。

それも一種のギャップ萌え……アンビヴァレンス・ラヴァー※さっき僕が作った造語の一種だが、同時に決して悪い意味ではなく、王道で類型的なものではある。
『まどか☆マギカ』は「とはいえそこまでやるか普通!?」っていう衝撃があったけどね。

一方、『けものフレンズ』の描いた世界は僕が知る限り……
類型が。
まったくない。

……アンパンマン?
そうだ、意外とアンパンマンは『けものフレンズ1』に近いかもしれないぞ。
いや、アンパンマンはそもそもロードムービーじゃないし、あんな骨太の不穏さはない、それにノスタルジーも別にない。そんなアンパンマンは嫌だ。

語っていなかったが、けものフレンズを語るときに「ノスタルジー」は外せない要素だ。不穏さの裏側にある「滅びたもの」の描写が見事だった。それは作品自体に「子供向けコンテンツ」の残り香があることと見事に呼応していた……

ああ、『けものフレンズ1』について語り始めると日が暮れてしまう。
そろそろこの記事の本題である「『けものフレンズ1』が好きだった人にとっての『地雷』」について語ろう。

的確に踏み抜かれた地雷

もうお分かりだと思うけど、僕はこの記事を近藤先生ご本人に捧げたくて書いた。
もうここまで書けば、「何が良くないか」羅列する必要はないだろう。

が、強いて言うならば。
「子供向けだから機微を語るべきではない」
は、あらゆる意味でマズイ言葉だと思う。そこらへんの機微をびっくりするほど煮詰めていたのが『けものフレンズ1』という作品だったのだから。

『けものフレンズ2』という作品について、僕はあまり触れたくない。
だが、僕の知る範囲で……実際に観た範囲で語るなら。
脚本がエンターテイメントとして基準に達していなかった。
それに何より、端的に、真摯じゃなかった。
それだけだ。

……さて。
ある意味では、ここまでは長い前置きだ。

ここまでで語ったこと全て。
それは、ここから書く……

僕がどうしても。

どうしても。
どうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしても。
この記事を書かねばならなかった理由に、つながっている。

それは。
この作品が。
この、「面白い」作品が。
www.urasunday.com

あーとかうーしか言えない (1) (裏少年サンデーコミックス)

あーとかうーしか言えない (1) (裏少年サンデーコミックス)

 

 「エロマンガ」を扱う作品である、ということだ。

僕は大学でカリッカリに文学を学んだ人間だ。
だからテクスト分析的観点は確実にその勉強をしたことがない人よりあるし、「作者と作品は切り離す」なんていう基本なんて骨の髄まで染み込んでいる。

だが。
あまりにも作品の思想と対極のものを見せられて、作品の読み方に影響しないでいられるほど、僕は人間、できちゃいない。
(これは多分『けものフレンズ』ファンなら頷いてもらえる感情だろう)

話を戻して、何故僕が「エロマンガ」を扱う作品の作者にこんなことを言いたくて仕方ないのかというと。

「エロマンガ」は。
オタクのアンビヴァレンスな性質を、これでもかってほど究極に詰め込んだものだと思っているからだ。

だって、たかが絵だよ?
だって、こんな都合のいい女の子現実にいないよ?
エロマンガなんて読むやつなんて、ロクなやついないでしょ?

エロマンガって、そういった言葉に対して、「うるせー!!!」って心の中で叫びながら、「いい大人が」プライベートな世界で読むものじゃないですか。
そしたら、応えてくれるだけの世界がある。
それくらい、わかっているでしょう。
わからずに描いてるはずないでしょう、先生。

増補 エロマンガ・スタディーズ: 「快楽装置」としての漫画入門 (ちくま文庫)
 


だから、先生、それだけは……

いい大人がこのアニメの機微なクオリティを云々しているのは滑稽でしかないと思う。

それだけは、……言っちゃ、駄目なんだよ。
駄目だったんですよ。

好きだから、怒るんです。
好きだから、執着するんです。
愛しているから、怒るんです。
いくら幼稚でも稚拙でも、ロクでもないものでも、好きだから、語りたくなるんです。
名作って言われる作品は、答えてくれるんです。応えてくれるんです。

……それくらいの作品「だった」んです、『けものフレンズ1』という作品は。
「僕らが見るべきものじゃない」は、その時点で、全ての可能性を閉ざすんです。
※細かいことを言えば、例えば『しましまとらのしまじろう』みたいなもう誰がどう観ても「子供向け」の作品もあるにはありますよ。「君らは対象年齢じゃない」っていう。(まぁそれに対してもガチ批評する大人は存在するわけだけど、それは別にして……)
一方、
『けものフレンズ1』『2』は、明らかにそういった文脈の作品じゃないっていうこと自体も無視できることではないのですが、ここで主張すると本筋から外れる可能性が高いのであまり言及しませんでした。

もちろん、「愛」ゆえに全ての怒りや暴言が肯定されるとは言わない。
だけど「怒りを生むほどの愛がそこに存在する」と認識していたら……そんな迂闊なことは、絶対に言えなかったはずなんです。先生。

それをあなたは作品に、徹底的に込めてたじゃないですか。
それともそれは、表面上のものなんですか?

だとすると、僕は今後、先生の作品に出てくる『エロマンガ』という概念をただの舞台装置としか認識できなくなってしまう。
何度も言うけれど、作品と作者は本来切り離されるべきで、作品の評価は作品の中で完結しているべきだ。

でも、こちらも何度も言うけれど。
僕はそんな、人間できちゃいない。

先生、応えてくれ。
これはひねくれたラブレターなんだ。最低の最悪のラブレターなんだ。
けものフレンズ1も、先生の作品も、エロマンガも僕は好きだ。愛してる。

お返事、お待ちしてます。

……
お読みいただいた他の方にはハタ迷惑な記事でしたね。
〆ます。

 

【追記】
たくさんのコメント、ありがとうございます。
すべて読ませていただいております。

ただ、一部僕の意図が明確に伝わっていないと思ったことがあったので、追記させていただきます。

そもそも。
これは滅茶苦茶大事な話なんですが……

  1. たつき監督降板に端を発する『けものフレンズ』の世界観崩壊問題
  2. 『けものフレンズ2』の脚本の是非(1と独立して、単純な出来の良し悪し)
  3. 『けものフレンズ2』の脚本の是非(1の内容やテーマを意図的に否定するような脚本であると言われていること)
  4. 『けものフレンズ2』関係者のツイッター等での素行
  5. 一部過激派『けものフレンズ』ファンの暴言、過激な行動
  6. 近藤先生の発言が、控えめに言っても「けものフレンズ2の擁護』ではなく、「ファンを馬鹿にしている」と受け止められても仕方のないものであったこと
  7. にも関わらず、「けものフレンズ2を擁護したらいじめられた」という旨の発言をしたこと
  8. 「ファンを馬鹿にしている」発言のうち、「いい大人が〜」の部分が特に『けものフレンズ1』の視聴者にとって、あるいはアニメや物語の愛好家……つまり「オタク」にとって地雷であると(少なくとも私にとって) 感じられたこと、そしてその文脈において、1のファンが2に怒り続ける or 無視できない、執着してしまうこと
  9. そして、近藤先生の作品『あーとかうーしか言えない』の作品の読解にどうしても影響してしまう程度に、「いい大人が〜」の発言が作品内での主張やテーマと食い違っていたこと


……これらは、全部、地続きではあれど、別の問題です。


客観的に考えて、近藤先生の最大の問題点は7だと思います。で、5を苦々しく思ってらっしゃる方が近藤先生の発言に理解を示されているのもよくわかります。

ただ、僕がこの記事で触れたのは、(6), 8, 9がメインで、他は一切触れないか、あるいは少しだけ触れる程度でしか語っておりません。


そのことがあまり伝わっていなくても……
正直、仕方ないです。
僕も列挙してて「やべえなこれ」って思いましたもん。
問題が複雑すぎる……


1〜4、および5の問題については、はっきり言って僕はあまり触れたくありません。
なので、コメントで触れられても正直なところ困ってしまいます。

どんなご感想もありがたいのですが、ここで扱ったこと以外の問題に関して、僕は多分上手く答えられません。それだけご容赦ください。

もちろん、疑問点等ございましたら可能な範囲でお答えいたします。
【追記ここまで】


お読みいただき、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

「あっち」と「こっち」

こんにちは、Mistirです。

ずっと考えていることがある。

僕はなぜここにいるのだろう?
……と言うと詩的だけど、今日語りたいのはもう少し具体的なことだ。

ピエール瀧が逮捕された。
なんかヤクをやっていたらしい。

マスコミは安全な立ち位置からボロクソに叩く。
Twitterもそうだ。
まぁそうだろう。当然だ。

「うん、辛かったんだね。ヤクくらいやっちゃうよね」
そう言うくらいなら、ボロクソに叩いておいたほうが安全だ。

だが、僕はなんというか。
僕が今ヤクをやっていないのは、ただの「偶然」だと思うのだ。

堂々とピエール瀧のことをボロクソ叩ける人は、よほど高潔な精神なんだろうなーと、……なんだか……それこそ。
「あっち側」の世界の人間を見ているような気がしてくる。
自分の世界に属していない、別世界の存在。
なんで君らは、安全な立ち位置から、上から目線で、決して殴り返してこない、「絶対的な悪」を、安心して、叩けるんだ?
自分は絶対に「そっち」に行かないという自負?誇り?
羨ましい、生きるのがとても楽そうだ。

あと、新井浩文も同じ。

「冷静に」語るなら、僕は新井浩文のようなことは絶対にしないだろう。
しない。

……本当に?本当に、か?

客観的に見れば、そこらへんの人が到底たどり着けないような成功を積んでた新井浩文がああいうことやっちゃったんだぜ?
なんで酒飲みながらバイクについて考えることがせいぜいのお前が「絶対に」なんて言葉を使える?
お前は、結局何も分かっていないだろう?

……この話にあまり深入りしたくはないから、これくらいにしておく。

僕が今語りたい「あっち」と「こっち」の差は、「罪を(とにかく何らかの理由で)犯してしまった人」と、「罪を(偶然)犯していない」人のことだけの話じゃない。
例えば、「たまたま、死んでしまった人」と、たまたま「生きている自分」。
そういったことについて、つい考え込んでしまう。

その文脈における「あっち」と「こっち」を隔てる「原因」「理由」を、「こっち」にいながら断言するヤツが、僕は嫌いだ。
多分、そういった価値観は今まで読んだ本がきっかけで醸成されているんだろうと思う。

僕が人生で一番読み返している『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』の一節。

 

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

 

 

 ──焦ってしまう。
 だが、しかし。本当の問題は、そんなところには、ない。
 オレは、それを、知っている。
 授業がつまらないとか、勉強がめんどくさいとか、今夜は加藤の下宿訪問だとか、そーゆーことは、あくまで皮相的な問題にすぎなくて、オレたちの根本的な問題は、もっと他のところにあるのだった。
 ──たとえば、そう。
 真夜中にバイクを暴走させて、それで事故って、あたら若い命を散らしてしまったヤツがいたとしよう。
 彼はいったい、なぜ、そのような行動をとってしまったのか。
 なぜ彼は、あまりにも危険な、雪道深夜のバイク暴走などといったことを、若さに任せてやってしまったのか。
 聞くところによると、ヘルメットも被らず、この先に急カーブがあると知りつつ、それでも彼は、スピードを落とさなかったそうだ。そんなの、まるで自殺だ。
 ──いったい何が、彼をそうさせたのか。
 彼が死んだのは、なぜか?
 なぜなのか?
 おそらくは、やはり、勉強がイヤだとか、期末が近いとか、そーゆーことが原因なのじゃあないと思う。いや、原因の一部ではあったかもしれないが、もっと、こう、他にも深い原因があったことなのだろうと、オレは思う。
 しかし、だがしかし、深い原因というものは、それはやっぱり深いだけあって、そうそう簡単には発見できないものである。そうそう簡単には説明できないものなのである。
 だからオレたちは敢えて何も語らず、ひたすらに曖昧な笑みを浮かべておく。わからないことは、何も言わないでおく方が良い。そうに決まってる。
 それなのに──「家庭環境が酷かったらしいぜ」とか「昔から変だったみたいよ」とか、そんな知った風なことを言うヤツは、このオレのパワー溢れる一脚打撃で、あっさり昇天、させてやりたい。一カ月前の事故をいまさらネタにして、おもしろおかしく世間話するヤツは、一撃必殺、してやりたい。
 そう思う。
 思うのだが、いまは学食で昼飯を食っているところなので、手元に一脚がない。それに、一脚で頭を殴ったりしたら殺人罪になってしまうので、やっぱりオレは、そんなことはしない。
 ただ、じっくりと、じっとりと、睨みつけてやるだけである。

滝本 竜彦. 角川書店

なんか書きたいことや言いたいことはいろいろあったのだけれど、この引用だけで全部言いきった気がしてきた。
もういいや。
あと「あっち」と「こっち」を描いたもので思い浮かぶのはアニメ『シゴフミ』の第三話と、京極夏彦の『魍魎の匣』かな。

……まぁ、少しだけ追加で話をするなら。

多分、「何かを間違っても」、僕は決して養護施設で入居者を虐殺したようなヤツのような行動はしないし、小学校に侵入して児童を虐殺したヤツのようなことはしないだろう。
だが、それはここまで書いたことと矛盾しないか?

結論を言うと、程度を考慮しないのなら、矛盾しているのだ。

だが、この問題はまさしく「程度」の問題なのだと思う。

先程挙げた『魍魎の匣』がまさにこのテーマを扱っているのだけれど、本当に「チャンス」が与えられたとき……僕らは、本当に「高潔」でいられるか?


例えば、絶対的に信頼している人に、絶対にバレないようにお膳立てされた上で、薬物を勧められたら。
「そもそもそんな機会はあり得ない」って断言するのは、ただの思考停止だ。

もしそんな機会があったら。
僕はどういった選択を取るか、正直さっぱりわからない。
だから、とにかく「そんな機会がそもそも生まれないように」日頃から生きるしかない。

……でも。
何故かしら、「そんな機会」に出会ってしまった人のことを……
僕は叩く気持ちにはなれない。ならない。

だが、意思を持って10人殺した人間のことも同じく叩く気にならないのか?
それは……僕には無理だ。

結論を言えば、多分僕は「ああなっていたかもしれない」「ああなれるかもしれない」と思う、そんな傾向が良くも悪くも強いのだと思う。
その閾値が、人よりちょっと広いのだろう。

ややこしい話をしたが、結局はその程度の話だ。
だからこの記事のことは、ただの自己紹介と思って読んでいただければそれでいい。
それで、いいんです。

お読みいただきありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

 

何もしたくない、あるいはTwitterのこと

こんにちは、Mistirです。

長いこと更新してなかった。
2月1日に独立して、最初は慣れていなかったこともあり大変だったけど徐々に慣れてきて今に至ります。

別に時間が全く無いってわけでもなかったんだけど……
気持ちが忙しないのと疲れているのとで、なかなか文章が書けないでいた。

やっと落ち着いた予定のない日曜日。
今日は独立した前後の日々のことか、滝本竜彦について何かを書こうと思っていた。

滝本竜彦。
僕がもっとも敬愛する小説家だ。

処女作の『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』は10回以上読み返している。

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ (角川文庫)

 

 最近、最新作の『ライト・ノベル』を買った。

ライト・ノベル

ライト・ノベル

 

難解極まりなかったけれど、大傑作だった。
滝本竜彦が小説家人生を賭けて追い求めてきたものの、一つの結論だった。

……そういったことを語ろうと思っていたが、面倒臭さが勝ってしまった。
いつか絶対に語ろうと思うけれど、今書いても100%の文章は書けない。そう思った。

書けるときには一気に書けるのだけれど、何か呪術をかけられているような、そんな状態に陥っていないと書けない。
例えば、この記事なんかは3時間ほどで下書きもなく一気に書ききった。

mistclast.hatenablog.com


乗ってるときは一気にいける。
でもそうでないときは、何もできない。 

身体が疲れているということもあるけれど、日曜日の午後はいつもそうだ。

以前はそういった気持ちが定期的な感覚で来ることに本気で悩んだこともある。
おそらく、躁鬱傾向の一種なのだろうと思っていたが、今はもっと単純に、自分が途方もなく疲れやすく、疲れると本当に何もできないってだけなのだと諦めている。

そういったときはYouTubeとかニコニコ動画でしょうもない動画を流しながら、酒を飲む。
洗い物は溜まり、机は乱れる。
洗濯物はやる気のあるなしに関わらず、常に乾燥機に突っ込んでいる。

悲しいから酒を飲むのでも、楽しいから酒を飲むのでもない。
惰性で酒を飲んでいる、というのが一番近い。
あえて回りくどい表現をするのなら、このやる気のなさやどうしようもない虚無感を、やる気のなさやどう仕様もない虚無感であると実感する前に、酒で流し込む……そういった儀式みたいなものになっている。

だが冷静に考えると、全ては惰性だ。
それは独立しても変わらない。

その理由は自分の途方もない疲れやすさにあるのではないかと、今は思う。

そういえば元・日本一有名なニートのPhaさんも「疲れやすい」と言っていた。

持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない (幻冬舎文庫)

持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない (幻冬舎文庫)

 

僕もそうだ。
基本的に疲れている。

だが、疲れたから何もしないというのももっと疲れる。
不思議な話だ。

だんだん、肉体が疲れているのか精神が疲れているのか分からなくなる。
そんなときはとりあえず長時間寝るのがベストだ。


にも関わらず、なぜかこんな文章を書いている。
それは最近買った『ライト・ノベル』を雑所得に対する経費に計上するため……
でもあるのだが、それだけではない。

多分これは、一種の暴力性なんだろう。
たまに何もしたくない、何も前向きに考えたくない、そんなときは色々な負の感情を誰かにぶつけたくなる。

石川智晶の『不完全燃焼』のように。


不完全燃焼 / 石川智晶 PV


本当は何もしたくないんだろ?
そうなんだろ?そうなんだろ?と。

とにかく、「質量を持った『後ろ向き』」を誰かにぶつけたくなるのだ。

僕はどうしようもない人間だから、自分以外の誰かが途方もなく後ろ向きだとイライラする。もうちょっと前向けや、と。
だが自分がそういった発作に襲われたときは、それが発作だと分かっているから、とりあえず自分の中に収める。

だが今日はなんとなく、それを誰かにぶつけたくなった。多分、何かを書こうとして、それが書けないと分かって、とにかく何かを書きたくなったからだろう。

そういえば。
こういったとき、僕は以前Twitterに色々な感情をぶつけてきた。
そういった用途に関して、Twitterという媒体ほど優れたものはない。
あそこは人の闇が剥き出しのまま渦巻く空間だ。

それが、元気な僕には鬱陶しい。

そこまで世の中闇でもないだろう。
鬱々と文句を言ってる暇があるなら前を向け。
Twitterのクソみたいな文章を読む暇があるなら、滝本竜彦か三秋縋の小説を読む方が1億倍有意義だ。

スターティング・オーヴァー (メディアワークス文庫)

スターティング・オーヴァー (メディアワークス文庫)

 


そういったことを考えている僕が。
いざ世界に後ろ向きな感情をぶつけたくなったときに、Twitterみたいな空間を懐かしく思うのは、自分勝手な話だろう。

他人に闇をぶつけるのなら、他人の闇を受け入れる。
それくらいあってもいいだろう。

だが、……それすらも、面倒くさい。
そうして僕は一人になる。
一人になる。
一人に……

……一人に、なりきれない。
だからこうやって、何かを発している。

そういえば。
SmartNewsか何かで見かけたが、Twitterで「人を傷つけない表現」が話題になっているらしい。

news.nifty.com


フランス文学を学び、岡本太郎のファンである僕が言う。
バカバカしい。人を傷つけてこそ本物の表現だ、とまでは言わないにせよ、表現が偉大なものであればあるほど、人の心の触れただけで崩壊するような部分をいともたやすくグチャグチャにかき乱すんだよ。

ものごとをメタに見る、ひねくれ者の僕が言う。
たったひとりの素人の発言に、色んな人が騒いじゃってまぁ。ただのリンチじゃん。

そんな僕と事象をさらにメタに見る、もう一段階上の僕が言う。
違うね。こういった発言を放っておくこと、それはあってはならないことなんだ。素人から発された言葉か、プロから発されたか、そんなことは関係ない。表現に関わる人間の尊厳の問題なんだ。



今の僕が言う。
お前らみんな傷つけバーカ。
あっ、傷ついた?あはは。


……。
なんでこんなこと書いてるんだろう。

多分、寂しいんだろうなぁ。
誰かに分かってもらいたいんだろうなぁ。
これだけ何もしたくなくても何かを書いている気持ちも、嫌いなTwitterでたまに馴れ合いたくなる気持ちも、あまり胃の調子が良くないのに酒を飲みたくなる気持ちも。
その上で肯定されたいし、否定されたいんだろうなぁ。

酒が友達だなんて思わない。
強いて言えば小説と本が友達だ。
最近は小説ばかり大量に読んでいる。

今日はそれすらも信じられなくなって、何もせず、ここに書いたようなことばかり考えていた。

また明日が来る。
明日頑張ろう。
いつもそうだ。月曜日の僕は、頑張っている。

お読みいただき、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

 

僕は落合陽一 (的な価値観)と戦うことにした

こんにちは、Mistirです。

いやー……
怒ってます。
僕は今、怒っています。

戦わないといけない。
誰と?
落合陽一氏 (以下敬称略)と。

といっても、落合陽一を敵視するわけじゃない。
……彼の著書を読んで、僕や、あるいは僕に近い人間が「防波堤」にならないといけないと感じたのだ。
言い換えると一種のセーフティネット。

僕は彼の為すことに全面賛成できないまでも、興味深く見てはいた。
この記事でも落合陽一について語っている。

mistclast.hatenablog.com

だが、言葉にならない違和感を覚えていた。
それが彼の著書を読んで言葉として結実した。
結果的に、氏の主張と対比した上での僕の「生存戦略」みたいなものが見つかったように思う。

そのことについて、少しだけ語ろう。

 

『日本再興戦略』という本のこと

きっかけは、氏の『日本再興戦略』がKindle Unlimitedで無料配信されたことだった。
もともと興味のあった本だったから、これを期にと読んでみたのだ。

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

 

 断っておくけれど、僕はもともと「日本の再興」などにあまり興味はない。
だけど……
その手法というか、技術論的なもの、あるいはロードマップが示せるとするならば、それ自体には大いに興味がある。
このあたりの僕のスタンスについては、なかなかややこしいのだけれど、お時間があれば過去記事を読んで頂けると嬉しい。

mistclast.hatenablog.com

閑話休題。

で、その内容を全体的に語るとするならば、「全面賛同はできないが、一理ある点も多い」という歯切れの悪い感想になる。
この本について全体像を事細かに語るつもりはない。
もっと言えば、後述するがこの本は読破できていない。できなかった。

その理由は……
どうしても看過、承諾できない、強烈な……はっきり言って「悪臭を放つ」点があったからだ。
その点について語りたい。

発端は、氏が「士農工商」について語る一節だ。

要約すると「金が金を生み出す」非実体経済("商")ではなく、「技術やモノが金を生み出す」実態的な経済("農"や"工")が重んじられるべきだ、……という、まぁはっきり言って当たり障りのないことを言っている。
氏はやたら回りくどい・噛み砕かない言い方をする傾向があるが、まぁそれは僕も似たようなものなのでそこは別にどうでもいい。

その文脈で「拝金主義」について批判しているのだけれど、これがちょっとひどい。

出版社の設定によりコピペができないから手作業で引用しよう。

 もうひとつ、トレンディードラマに代表されるマスメディアがもたらした害悪があります。それは、拝金主義です。今の日本は拝金主義すぎます。
 結婚相手を選ぶときに、頻繁に最初に出てくる条件は年収ですが、これは拝金主義でしかありません。今の日本は、拝金主義がインストールされすぎていて、もはや気にならなくなってきています。
 僕もお金の話をよくするのですが、それは「お金はたかがツール」だと思っているからです。家に帰ってきて電気をつける、という「電気」くらいに、ビジネスや研究にとってのお金を考えています。しかし、世間にはお金が神様だと思っている人が多すぎます。それはマスメディアのせいです。
 しかも地上波をつければ、「だれだれの家は豪邸なんですね。10億円ですか。庶民には買えませんね」といった内容の番組がしょっちゅう放映されています。あれを海外で見たら、「なんて低俗なんだろう」と思いますが、日本ではそのような番組が結構あります。
 大学生が、好きでもないのに、メガバンクなどの金融機関に就職したがる理由の一つも、お金が重要だと思っているからです。
 しかしながら、お金からお金を生み出す職業が、一番金を稼げる(=価値がある)と考えるということ自体が間違っているのです。制度や発明など生産性のあることは何もしてませんし、社会に富を生み出していません。それなのに、金融機関に行きたがる若者が多いのは、マスメディアで洗脳されているからです。ドラマの中に出てくる主人公が銀行で働いている設定だったりするのは、マスメディアで報じられる金持ちへの憧れがあるのでしょう。

『日本再興戦略』位置38%付近より引用 青字・赤字・太字での強調はMistirによる

青字のところは後で詳しく語りたいからよく覚えておいてほしい。
まず問題は赤字のところだ。
ちょっとわかりにくい場合、ここは軽く読み飛ばして頂いても問題ないです。

まず、「お金からお金を生み出す職業」、つまり金融業をはじめとした非実態的経済……わかりやすいのが利息で稼ぐモデル。
こういったモデルが「稼げると考える」ことと「価値があると考える」ことをイコールで結んでいるけど……これは全くの別物でしょう。

現状の資本主義において「大金を回せば細かい金が生まれる」ってのは概ね事実で、100億円から100万円を生み出すのは、1000円から100万円を生み出すよりはるかに容易いことはもうほとんど常識みたいなものだ。

かといって、それを「価値がある」と考えることはまったくもって別問題だろう。
事実は事実として認めて、「だがそれは本来良いことではない」という議論に進めるのなら分かる。
それは『ナニワ金融道』の青木雄二が人生を賭けて主張した資本主義批判に通ずる。

ゼニの幸福論 (impress QuickBooks)

ゼニの幸福論 (impress QuickBooks)

 

もしこの「非実体経済」が純粋に「価値のあるものだ」と無自覚に考えて銀行への就職を考える大学生がいるなら、僕も落合陽一と同様に「そりゃあもうちょっと考えたほうがいいよ」って言うと思う。

だが、これだけ資本主義が膨らんだ以上「金を扱う技術」は無視するには余りある「実態的な」技術だ。
もしも適正があるならば一生追い求める価値はあるだろう。
万一テクノロジーが個人の仕事を淘汰する変革が世界に起きるとしても、そうそう資本主義という強大なシステムは弱らないだろうし。

その観点……「金の扱いそのものが立派な技術」という観点が抜けているのは、まぁある程度仕方ない。そこまで語ると収拾がつかないから語らなかった、と好意的に解釈できる。

が。

皆さん。

……「稼ぎたい」という欲望を持つ人々についての語り方に、著しい想像力の欠如を感じないだろうか?

感じるとするならば……多分、僕と境遇が近い人なのかもしれない。

感じないとするならば……もう少し先を読んでみよう。

この後、「舌の根も乾かぬうちに」という言葉がふさわしい程度のページ数の後、彼はこう語る。
文脈は……なんのことはない、彼自身が利用する「テクノロジーの実例」を語っているだけだ。

 僕も昔はよくコンビニに行きましたが今はあまり行かなくなりました。僕は高度の高いところに住むのが好きなので、自宅がマンションの高層階にあります。マンションのすぐ近くにはコンビニがあるのですが、最近ではエレベーターでの上下移動が面倒くさいので、アマゾンの「Prime Now」で宅配してもらうようになりました。
『日本再興戦略』位置44%付近より引用 赤字・太字での強調はMistirによる

  今でも僕は、都内ではタクシーでしか移動しませんが、タクシー代は大体月に20万円くらいです。タクシーを使うことで時間を捻出していて、車中ではずっと仕事をするか仮眠しています。そう考えると、1日2時間を捻出でき、単純計算で月に3日分くらい人より長いことになります。労働時間に換算すると5日くらい人より長いことになります。それで1日4万円くらいの仕事ができるなら採算に合います。
『日本再興戦略』位置52%付近より引用 赤字・太字での強調はMistirによる

 

 

 

…………

 

 

 

……………………

 

…………………………………………

 

 

……はぁ………。


僕はこのあたりでこの本をいくら読もうとも目が滑るようになって……強いて言えば、最初から異様な脚注の多さや語彙の選択のせいで目が滑る本だったのだが、そのレベルではない……はっきり言って。

強い目眩を覚えて、この本を読むことを打ち切った。

そして確信した。

彼の言う「日本再興戦略」が成功し、何かしらの形で……それこそ「日本の実体経済」なのか、「共同幻想としての日本」なのかわからないが、とにかく「日本」が「再興」したとしよう。

上位数%のエリートたち、金を稼げる方々が、大量の死骸の上で高らかに笑う未来が、極めて明確に、見えた。

いや、僕もさ。
正直「個人主義者」を自覚してるからさ。別にいいんだよ。
東大卒業するような人間は、東大卒業したにふさわしい金を稼いで、東大卒業したにふさわしい贅沢な暮らしをするべきだ。
金があるならモリモリ使うべきだ。
タクシーに月20万?自家用ジェットでも全然構わない。

だけどさぁ。
……だけどさぁ。
いくらなんでも、それ「稼ぐための戦略を取ろうとした人間を拝金主義と批判した直後に」言う?

ここで目眩覚えないとしたらさ、それは……
必死こいて稼ごうとしてる数多の人間に対しての想像力が、著しく欠如してるでしょ。
さらに言えば、この人、この本の中で既に「日本人は教育の格差についての不平等に意識が低い」的な批判もしてるからね。

……もう滅茶苦茶や……

もう一度繰り返すが、僕は「個人主義者」であり、「努力して稼いだ人間が贅沢な暮らしをすること」は「当然そうあるべき」と考えている。
もっと言えば「文句ばっかり言って現状打破のためのロードマップを(「描けない」ではなく)『描こうともしない』」人が優位に立つ世の中であってはならないとさえ考えている。
このことについては難しい自己責任論に踏み込むことになるから、今はあまり深く語りたくないが、以上のような考え方を抱いていることは少なくとも間違いない。

でも。
それでも。
彼……落合陽一が描く世界は。

僕は、嫌だ。

ノー、だ。
それだけは明確に言える。

自分語りをするのもなんだけど、ちょっと僕自信の境遇を話しておこう。

僕は8歳の頃両親が離婚して、築100年近くの、便所が外(もちろんボットン便所)で、風呂には時折ナメクジが出没するような祖父母の家に引っ越した。


その家は、土地開発の煽りで潰された。


それとは別に、母が別の所に家を借りた。


その家は、土地開発の煽りで潰された。


……まぁ要するに、結構な貧乏だったわけである。

……そんな家で育てられた僕は「金を稼いでやる!」と一念発起し、勉強に励んだ……
わけではなく、「金よりも思想だ!」と哲学や文学の道に突き進んだ。ただし、「某京都の国立大学卒業すれば食いっぱぐれないだろう」という邪念付きで。

僕が「とにかく金を稼いでやる!」という思想に行き着かなかったのは、高校時代、文学やライトノベル的価値観に入り込みすぎたせいもあるが、今思うとそれよりも何よりも……

「そもそも、自分が稼いでいるビジョンが見えなかったから」
だと、今になって思う。

自分が稼ぐビジョンが見えない人間が取る選択肢は、まぁ幾つもあるだろうが、わかりやすいところだと……

「稼ぐことを諦める」か、「とりあえず稼げる道を取る」か。

僕は「焦り」みたいなものがあったから「自分に技術を付与しないといけない」と考えてエンジニアに進むことにした……まあ言ってみれば「プランC」を取ったが、「とりあえず稼ぐために大手企業に就職する」は、全然間違っていない選択肢だと今になって思う。
中小企業の優位性と大企業の優位性は、やっぱりそれなりの差がある。

で、そういう「稼げる」生き方を選ぶことを批判するのってさ、まぁ一部「拝金主義的な価値観に染まりすぎてる」人もいるとは思うんだけど……
それでも、落合陽一の文脈では少なくとも、どうしても現実が見えてないように思える。
「年収 地方別 中央値」とかで検索するともう凄まじいよ?氏は検索したことがあるのだろうか。

さて。
ここまで書いた内容でだいたいお察し頂けたと思うけど、僕は結構な田舎出身で、それも何度か転校を繰り返したこともあり、色んな人……まぁ色んなガキを見てきた。
そのガキも、今や社会人になって色々な人生を送っている。

その多様性を知ってるから、と言うべきかどうかわからないけど。
とにかく、いくらなんでも落合陽一の議論は雑……粗雑すぎるし、はっきり言って……


想像力が著しく欠如してると言わざるを得ない。

想像力のこと

想像力。

僕はこの輪郭のないものをずっとずっと大事だと言い続けている。

「想像力があるとはどういうことか」を語るのは猛烈に難しいけれど、「想像力がないとはどういうことか」を語るのは比較的簡単だ。

例えば「稼ごうとする」動機に目を向けず、稼ごうとする理由をひとまとめにすること。
例えば「10億円の豪邸」がテレビでウケる理由を「低俗」だけで片付けること。

……まぁ、ぶっちゃけこれに関しては僕も「低俗」だと思わないでもない。
けれどもう少し考えようよ、ここは。

話が急に変わるけれど……
滅茶苦茶変わるけれど。

以前東京湾アクアライン(東京と千葉を繋ぐ海上の高速道路) が20周年を記念して、アニメのポスターを作っていた。
記念して海ほたる(日本唯一の海上サービスエリア)では大々的にキャンペーンをやっていた。
公式サイトが完全に死んでいたので、クリエイターの方のサイトを引用しよう。

www.sankyo-fever.jp

どんなポスターだったかはリンク先で見てほしいのだけれど、なんというか「君の名は」っぽさが凄い。凄すぎる。

そしてアニメでのプロモーションも行っていたのだけれど……

www.youtube.com

公開から1年強が経過した2019年1月現在、再生数が2000回弱である。

 
……ちなみに、僕はこのアニメを最後まで見れていない。

辛いんです。
めっちゃ恥ずかしくなるんです、このアニメ見てると。
もうこの記事のタイトル『僕は落合陽一と戦うことにした』じゃなくて『アクアラインのアニメが見てて恥ずかしくなる件www』とかでも良かったかもしれないが……それは本題ではなく。

なんでわざわざこのコト書いたかって言うと、例の「『君の名は』っぽいアニメのポスター」を海ほたるで見たときに結構衝撃を受けたんですよ。

ああ、もしかすると。
アニメっていう「非現実」が。
例えばポスターに美人の人気アイドルを起用するといった「半分現実」よりも……

よっぽど、「現実味がある」んじゃないかって。

まぁ実際、企画者としては「アニメの流行に乗っただけ」とかそういうレベルだったのかもしれない。
だけどこのときに得た「非現実」が「現実」よりよほど「現実味がある」という現象は、決して違和感のある話ではないだろう。

わかりやすい話、この僕が撮った写真を見て……

f:id:Mistclast:20190125010159j:plain

「ゲームみたい」と言うのと同じレベルの話だ。

ゲームの方が現実よりも現実的。
これはゲーマーなら全然違和感のない考え方だろう。

ちなみにこの写真はゲームでも何でもなく、僕がiPhoneで撮った群馬県である。

……

さ、話を戻そう。
僕が「10億円の豪邸」を話題にする人たちの気持ちに「想像力」を働かせる意義を指摘した理由、なんとなく察して頂けたのではないだろうか。

そりゃ、「低俗」の一言で片付けてもいいよ。
だけどここには本当に重要な問題が眠っていると僕は指摘する。

つまりさ。

マンションの高層階に住む……とかさ。
移動をタクシーに集約する……とかさ。
そういったことをするために必要な「可処分所得を数百万円ほど増やす」ことよりも。
10億円の豪邸について考えるほうがよほど「現実に密接になった」人たちの気持ちに、もうちょっと想像力あってもいいんじゃねーの?と僕は言いたいのだ。

『日本再興戦略』を語るのはいいけどさ。

それよりも僕は思うのだ。
「誰もが、可処分所得を金を使いたいときに数百万円単位で上げるための現実的な話ができる世の中にしようよ」と。

それが難しいなら、せめて。
「誰もが、可処分所得を上げることにヒーヒー言わなくても、せめて今の生き方は辛くない、今の生き方は理想的だって言える世の中にしようよ」と。

何が言いたいって、僕は一億の死骸の上に日本を再興なぞして欲しくなくてさ。

一億の個人が「ロールモデルを得る」ことが必要だと思ってるんですよ。
「ロールモデル」って言葉は、「多種多様な生き方があるのはわかった上で、ある程度ざっくばらんに『こう生きたら幸せになったり収入が上がったりするよね』っていうロードマップみたいなもの」というイメージで使っている。

「拝金主義」っていうロールモデルがよろしくない……あるいは崩壊しつつある、っていうのはそうかもしれない。
だけど、そこで「選ばれしエリート層だけが選びうる」ロールモデルだけ提示して、それにしがみつけなかった人間が振り落とされるディストピアに対して、僕は「やめろ」って言わざるを得ないんですよ。

だから僕は叫ぶ。
「まずはロールモデルだ。俺のロールモデルは何だと問い続けろ」と。
「やりたいこととか生きがいとか後に放っておいていいから、とにもかくにもロールモデルだ」と。
極論、「とにかく酒飲んでエロいことができればいい」も立派なロールモデルだ。
仮でもいいからとにかく作る。

多分、この発言でさえ「結構な人数を振り落とす」考え方だと思う。
けど、落合陽一の語る世界・戦略よりよほどマシだ。
このことはあまり書きたくなかったけど批判一辺倒になるのも嫌だから書いた。
(「戦うことにした」とまで書いちゃってるわけだし……)

とにかく僕は戦う……言い換えると、「ノー」と言うことにした。
だって、落合陽一的な価値観と、それに賛同する人たちが会社で権力を持ち出すのって多分もうすぐなんだよ。
絶対誰かが明示的にノー、って言わなきゃいけないじゃん。


ノー、の言い方は色々あって、「年収200万で気楽に過ごそうぜ!」でも「東京で消耗せず高知で生きようぜ!」でも、「筋肉万歳!」でも良いんだけどさ。

あるいは、僕みたいに「うるせぇ!バイクを用意しろ!」でも良いんだけどさ。

とにかく、ノーって言わなきゃ駄目だよ、これは。

落合陽一サン、あなたの言うことは一理あるかもしれない。
しかもエネルギッシュだ。
だからあなたはあなたの正しさを貫いて、日本を押し上げてくれ。

だが、僕はノー、と言う。

これも一つの事実だ。

ファジーな言い方だけど、そういうスタンスです。
多分落合陽一的な考え方も絶対必要だしね。異常なエネルギー、推進力って想像力を犠牲にしないと生まれないものも多いだろうし。

言い訳

……お気づきかもしれない。
僕が落合陽一にこだわる理由は……

もしかすると、僕も落合陽一のサイドにいたのかもしれない、とたまに思うからだ。

……いや、もちろん「若くで大出世して、博士論文も書いて、国際的に活躍して」……とかそういう話じゃなくて。落合陽一の経歴に関しては純粋にスゲーな、と思っているが、そういう話じゃなくて。

……なんというか、「共同体として頑張ろう!」「共同体として上を目指そう!」的なエネルギッシュさ、そこに希望を抱ける神経が……僕には正直、理解できないのだ。

だから会社も辞めちまったわけだし。

個人としての野望は、まぁなくはない。
むしろ色々ある方だと思う。

だが、そこから演繹的に共同体とか、日本とか、そういったものを考える……
なんだかよくわからなくなってくる。

まぁそれは、単純に僕がそれほど稼いでいないせいかもしれない。
バイクに乗り過ぎて万年金欠だ。

だが、それはそれとしても……
どうもエネルギッシュに「個人の外」を考えられる人たちのことを、よく理解できないでいる。

個人を救うことが共同体の救いにつながる、というのは分かる。
……なぜ個人の前に共同体を扱えるんだ?
それがリーダーシップ、というものなのか?
それほどに共同体は、価値あるものなのか……?

なんてことを考えていると。
前向きに共同体を推進する発想を堂々と……滔々と?語れる落合陽一という人間が、時折自分のアナザーサイドであるような感覚に陥るのだ。

「こういった価値観に『馴染む』大人になっていた可能性もあったのかな……」

分かっている。
それはただの屈折したノスタルジーで……

僕はただ……僕の生き方を貫くだけだ。

さ、金稼いでZX-14R買うぞ。
約160万円だ。

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なお今のバイクのローンが3年ほど残っている。
先は長い……

お読みいただき、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

 

『バーチャルさんはみている』が最高のクソアニメだった(褒め言葉)

for i in range(0,100) : #ループここから

 
こんにちは、Mistirです。

発表から放送まで異様に早かったこちらのアニメ。

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『バーチャルさんはみている』

観てみました。


うん。
……これはひどい。

これはひどいぞ。
ひどい。

僕はそこまでディープなVTuberファンではない。

が、ちょこちょことVTuberの動画は観ていたので、全くの無知というわけでもない。

首絞めハム太郎VTuberの登場時は、インパクトの強さに圧されてフォロワーになったりしてはいたが……

mistclast.hatenablog.com


それでも最近はVTuberの動画よりも筋肉動画とバイク動画ばかり流す日々だった。
最近一押しYouTuberはなかやまきんに君さんである。


【必見】バルクアップ、ダイエットに絶対おすすめの食事を紹介します。なかやまきんに君が毎日食べるのはコレです。

 

閑話休題。

なかやまきんに君さんの話は置いといて、バーチャルさんの話に戻ろう。

……
語るまでもない。

明らかな、企画の練り込みと時間の不足。

ファンの目線として見ると、身内ノリが強すぎて共感性羞恥的な……否、微妙に意味が違うんだけど……とにかく形容しがたい妙な物恥ずかしさを覚え。

ファンでないただのアニメ愛好家の目線として見ると、置いてけぼりっぷりに頭を抱える。

冒頭に一瞬だけ主要登場人物(VTuber)の紹介はあるけれど、あってないに等しい。
紹介されないVTuberも淡々と、そして次々と登場し、一方で背景の説明は全く無い。

統一された世界観もなく、……コント番組として観るにしても、不安だけが募る。

なんか黒髪の制服着たキャラがプロ並みの身体の張り方で笑いを取っているのはよくわかる。まぁ僕もともと好きなんですけどね、委員長


これはもはや放送事故だ。

少し前に別記事でご報告したのだけれど、僕は現在個人事業主開業の準備中で、日々勉強に忙しい半分ニートとか言うな

mistclast.hatenablog.com


アニメに煩わされている場合じゃない。
勉強しなければ。
さぁ、早く『Webを支える技術 -HTTP、URL、HTML、そしてREST-』でRESTfulなWeb APIの概要を頭に叩き込んでおこう。

Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST (WEB+DB PRESS plus)

Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST (WEB+DB PRESS plus)

 

……
しかし。

僕は静かな空間だと勉強できないタイプである。

……何かアニメでも流すか。
前期のグリッドマン、まだ全話観てないけど、あれは流さずプロジェクターに投影してじっくり観たいんだよなぁ。

今期アニメ、新しいの開拓するなら前期のアニメゆっくり観てからにしたいなぁ。

……何、流そうかな。

 


#冒頭に戻る
#ループここまで





……あれ?
俺、なんでこんなアニメ何度も観てるんだ!?

……そうだ。
僕は。
アニメ愛好家であり。
にわかVTuberファンだ。

だが。

それ以前に。
それよりもっと前に。

クソアニメ愛好家だった。
 

mistclast.hatenablog.com 

mistclast.hatenablog.com

 

前置き終わり。

 

クソアニメとして観ると面白い

結構このアニメ、神クソアニメ力高いと思う。

dic.nicovideo.jp

基本的に考えたら負けなアニメだし。
いや、今後無駄に考察要素とかブチ込んできそうで怖いけど。

ニコ動のコメント見てると「ポプテピピック思い出した」っていうコメントが多いんだけど、ぶっちゃけその類のコンテンツだよね。
ヴィレッジヴァンガードで延々流れてる謎の映像みたいな。

つまりですね。

このアニメを流しながら作業することで家がヴィレッジヴァンガードになるんですよ。
そういうアニメです。多分そういうことです。

ぶっちゃけイキリ豆が飛んでくるところ死ぬほど笑ったし(これは僕がイキリ豆を知っていたからだけど)、地味に面白いところも結構ある。

流して何も考えずに観るならこんなに良いアニメはない。
置いてけぼりすぎて不安が募るのは事実だけど、3回ほど観てるとだんだん気にならなくなってくる。こういうもんなんだ、と。

と、そういうアレな目線で観るのも良いかもしれないけど……
これじゃただただ貶してるように受け止められてしまうかもしれないので、一応釈明しておきたい。

褒める気も貶す気もあまりない

実のところ、このコンテンツについて褒める気も貶す気も個人的にはありません。
世にでるのが明らかに尚早だった気はするけど、深く考え出すと「地上波でVTuberをどう扱うか?」みたいな話になってきそうで、それはちょっと避けたい。

まぁ例えば、ガワの可愛い黒髪芸人某VTuberが水戸納豆とコラボしたっていうAbemaTVの動画なんだけど……


【事故】月ノ美兎、納豆をかき混ぜた瞬間…

納豆のゆるキャラ"ねば~る君"の芸人顔負けなキャラの良さもあり、バラエティとして普通に滅茶苦茶面白かった。
というか本当にこのガワの可愛い芸人トーク力すげぇな……


このレベルのモノを作れや!
……というのは楽だけど、そこまでバラエティ番組に寄せられて良いのか、というのも悩ましいし。そもそもそんな予算があるのか?って話だし。

端的に言って『バーチャルさんはみている』第一話の印象だと、……本当に第一話の印象だと。

「怪電波」

この三文字に尽きるんだけど。

それでも、ごく普通のアニメみたいにオリジナルストーリー演じられてもシラケるし、……もしかすると、この「フリースタイル・どこまで台本かよくわからない謎のコント」的進行は、一種の最適解……なのかも、しれない。

それともう一つ。
経験上、この手のアニメは後半選別された視聴者しか残らないから、最終的には高評価だけが残るんだよね。
逆に深い傷跡を残すアニメって第一話や序盤の印象が後半の印象と比べて良すぎたりするし。
止まるんじゃねえぞ……

VTuberの大ファンの目線からしても、本当に全くVTuberに興味がない層からしても賛否両論あるとは思う。
でもまぁ、僕はとりあえずしばらく追いかけようかなぁ。

割と純粋に次回を楽しみにしている自分がいるのは間違いないです。

本当にこのノリで突っ切るなら、悪評は3話くらいで収まりそうな気がする。
本当にこのノリで突っ切れるなら、だけど。

このまま甘えず最後まで怪電波を垂れ流して欲しい。
……まぁ雑にキャラが死んだりすることはないだろうし、そこは安心していいかな……

お読みいただき、ありがとうございました。
ではまた次の記事でお会いしましょう。