Minakami Room

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"This video has been deleted."で理解する初級高校英語

※この記事は全年齢向けです

ども、Mistirです。

実は僕、昔4年間塾講師のバイトやってた。

その時に何度も思った。

"This video has been deleted."で英語を解説できたら。
どれだけ楽だろう、と……

いや、この英文の意味は「この動画は削除されています」だ。
何ら解説に使ってはいけない理由はない。
理由はないのだ。

だけど、その、なんというか。
謎の圧力によって使えない英文だった。
何故でしょうね?

 

 

matome.naver.jp


その頃の悔しさを残したままにするのも嫌だから。
ネットの海に、残そうと思う。

"This video has been deleted."という例文一つで、初級中学英語〜中級高校英語の基礎まで、かなり広い範囲を網羅できるという素晴らしき事実を。

この記事の内容を完璧に理解できたら、かなり周囲に差を付けられるぞ!高校生たち!!!
途中までは中学生にも分かるように噛み砕いていくぞ!!!

※Mistirは英語の専門家ではないので、誤り等ありましたらご指摘頂けると幸いです。

マジメな解説

さて。
かなり長い解説になるから、お茶でも用意してゆっくり読んでくれよ!
(Mistir先生モード)


長い前置き

まず、英語の動詞っていうのは、実は……
二種類しかないんだ。

厳密にはもっと分けることができるんだけど、二種類。
・他動詞
・自動詞

これだけだ。
ついでに、「他動詞にも変身できるし、自動詞にも変身できる動詞もいる」っていうことを覚えておくと尚更良いね。

でね。
学校ではコレ、結構さらっと流されちゃう。
だから、案外高校生でも「完璧に理解」してる人は少なかったりする。

だけど、簡単だ。
是非ここでマスターして欲しい。

凄くシンプルに言うと、
日本語に訳した時に「を」が出てきたら、それは「他動詞」だ。
出てこなかったら、自動詞。

コレだけ?
ホントに、コレだけ。

だからこれから英語を勉強する時は、絶対に「〜を◯◯する」の形で覚えておいたほうがいい!
例えば今日紹介する

delete

は、「削除する」っていう意味の単語なんだけど、できるなら
「〜を削除する」
で覚えておいたほうが、後々役立つゾ!!!

さあ、話を戻そう。

さっき言った
「他動詞にも変身できるし、自動詞にも変身できる動詞もいる」
っていう代表的な単語が、

"open"

だ。

I open the door.

訳すと、「私は(その)扉を開く」だ。
「〜を開く」だね。つまり、この"open"は他動詞。
ちなみにこのとき「〜を」の「〜」にあたる部分を、「目的語」と呼ぶ。この場合、"the door" が目的語。余力があったら覚えようね。

じゃあこっちは?

The door opens.

「(その)扉が開く」
そう、この場合は自動詞。

※ちょっと話がズレるけど、「あれ、じゃあ"The door is open."って何?」って思われた人もいるかもしれない。これは「動詞じゃなくて形容詞のopenだよ」っていう説明ができるんだけど、ここは今回はスルーします。読み飛ばしてオッケー。

さて。

ここまで長々語ったけど、「それの何が大事なの?」って思われてるかもしれない。
でも、実は結構大事なんだ。

例えば、下の例文、訳せる?

"I run the school."

これ、中学生レベルの単語しか使ってないよね?
でも、多分中学生の大半が「私は学校で走る」って訳しちゃうと思うし、ちょっと鋭い中学生ならこう指摘するかもしれない。
「あれ?"in"が抜けてる?」

高校生のみんなは、訳せるよね。

他動詞としての"run"。
意味は……「〜を経営する」だ。

つまり、上の英文を訳すとこうなる。

「私はその学校を経営しています」
経営者になっちゃったね!学校で走ってる人とは大違いだ。
※ちなみに、I like him.なんかを「私は彼が好き」と訳した時、「を」は登場しないけど……このlikeが他動詞であることは、もう説明不要だよね。

……さあ!ここまで理解できたかな?

そろそろ本題に入るよ。
"This video has been deleted."だ。


This video has been deletedについて

さあ。最初から構築してみよう。

この例文で知って置かなければならない単語は、
・video
・delete
の二つだけ。便宜上、videoは「動画」と訳そう。
deleteはさっき言ったように「〜を削除する」だ。

さて。
英文を解釈する時、その「ベース」は何になっているのか考えると、英作文の練習にもなる。

「ベース」っていうと難しいけど、簡単に言えば……
「私は◯◯を☓☓します」とか、「私は☓☓します」の形に直してみよう、ということだ。

さて。
"This video has been deleted."の「ベース」を取り出してみよう。

"I delete this video."
私はこの動画を削除する

どうだろう。
これなら、中学生でも理解できるだろう。

さて。
この例文を受動態に直してみると?簡単だ。

"This video is deleted (by me)."
この動画は私に削除される

ここで、先程長々と語ってきた「他動詞」と「自動詞」の考え方が生きてくる。
実は、「自動詞」は、受動態に変換できない。
例を挙げよう。

Q:以下の例文を受動態にしなさい
"The door opens."

答えは簡単。

A:できません。

ここで、
"The door is opened."じゃないの?って思った人もいると思う。
だけど残念、それは
"I(You) open the door."を受動態にした形だ。

そう。
自動詞は、「受動態にできない」。何故って?
「〜を」の部分を「〜が」に変換するのが受動態への変換だから、「〜を」が存在しない自動詞の英文は受動態にできないんだよね。


さあ。
先程の英文
I delete this video.
を受動態にしてみよう。

This video is deleted by me.
この動画は私によって削除される。

これで受動態は完璧だ!!!

さて。
少しずつ、「時制」の話をしよう。

I delete this video.
私はこの動画を削除する。

これ、以外と難しいよね。
「あれ?現在進行系とはどう違うの?」って。
"I am deleting this video."とどう違うの、って。

deleteを進行形にするのは……なんというか。ニュアンス的には……
「ちょっと話しかけないでくれ!!!私は今現在この動画を削除するのに必死なんだ!!!!今私は動画を削除しているゥゥ!!!!!」
くらいの意味だ。相当誇張しているけど。
とにかく、「今、やっているんだ!!」くらいの意味になる。

一方、
"I delete this video."
は文脈次第で相当広いニュアンスを網羅してくれる。

「俺の動画が無断転載されてる……とりあえず片っ端から『削除する』わ。」
っていう、ゆるーい未来のニュアンスから
「毎週毎週無断転載されるの。その都度削除するけど」
っていう習慣のニュアンス。
「あー、今削除申請中」
っていうゆるーい現在進行形のニュアンスまで。

厳密にやらないのであれば、幾らでも表現できる。
でも、それだとできないこともあるのね。

それを今から説明していくぜ。

過去形と現在完了

さあ、順に行こう。

I delete this video.
私はこの動画を削除する。

を、昔の話にしてみよう。
簡単だ。

I deleted this video.
私はこの動画を削除した。

日本人的な発想だと、これを受動態にして

This video was deleted.

でええやん!ってなるよね。
何故 has beenを使ってるの?っていう話なんだけど……

さあ、ここからが面倒な話になるぞ。

実は、日本語には「厳密な意味での完了表現」がないのだ!!
だから、代わりに学校では「〜してしまった」のような表現を使っている。
っていっても、難しいよね。

簡単に説明しよう。

例えば、以下のような一文から始まる小説があるとする。
「彼は昔、医者ではなかった。」
誰でも察するんじゃないかな。
「ああ、今、彼は医者なんだ」って。


そう、これが「過去」の考え方。
"He was not a doctor." っていうのは、そういうニュアンスなんだ!
あくまでも「現在と繋がっていない、過去」に過ぎない。

じゃあ
"He hasn't been a doctor (since ...)."

この英文のニュアンスは?

日本語では
「彼は(◯◯以来ずっと)医者ではない。そして今でも変わらず医者ではない」
っていう長い一文での説明を、上の英文は一撃で表現してるわけだ!!!

これで分かってもらえたと思う。
完了表現は、日本語で表現すると、どうしてもまどろっこしくなってしまう。

でも、理解するためのポイントは簡単!

あくまでも、現在完了は「現在の話」だ。
過去のある時点で起こった出来事、事実が……
今現在もそうであるという「線」のお話。

一方、過去形は?
「点」のお話だ。

だから現在完了は絶対に"when(〜のとき)"と一緒に使ってはいけない。
whenは「点」を表現するからね。

今回のケースでは「消された」という過去の事実を伝えるだけでも問題ないのだが、現在完了を使う方が「消されていて、今もない」という事実をより強調できる。

さあ、ここまで踏まえて最後まで駆け抜けようか。

I deleted this video.
私はこの動画を削除した。

この過去形の英文を、「現在に繋がる英文」に変えてみよう。

I have deleted this video.
私はこの動画を削除した。今現在もこの動画は削除された状態だ。

そして、最後に受動態に変えてみよう。

現在完了を受動態に変える時は

主語 have(has) 過去分詞 目的語 
→目的語 have(has) been 過去分詞 by 主語(目的格)

っていう堅苦しい形で丸暗記してもいいんだけど、できたら理屈で覚えよう!

まず、
I have deleted this video.
の目的語、

This video

を先頭に持ってくる。

その次に持ってくるのは、have(has)だ。
受動態の考え方より前に、とりあえず「現在完了を表現するためのhave」を先に持ってくるってことね。

This video has

さて。
ここで受動態にしたい。
受動態の基本は、「be動詞 + 過去分詞」だよね。
でも、完了系のhaveの後は、必ず……
過去分詞が来る。

ってことは?
そう!

「have + be動詞の過去分詞 + 過去分詞」

だ!!!
そして、「誰によって削除されたか」を一々表現する必要が無い時は、「by」をくっつける必要はない。
「運営によって削除された」「権利者によって削除された」は一々表現する必要がないから……

これで、英文が完成だ。

This video has been deleted.
この動画は削除され、現在閲覧できません。



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テーレッテレー!!!!!

 



……更に先、「未来完了系」とかも説明したいトコロだけど、今日はとりあえずここまで。
気になることがあったらTwitterで聞いてください、なるべく答えます!

あー、久しぶりに塾講師時代に戻った気分になってすっきりした……
あの頃はこの説明、時間もないし、いろいろな意味でしたくてもできなかったからなぁ……

ではまた次の記事で
お読み頂きありがとうございました。