Minakami Room

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1000円の腕時計、チープカシオの思い出

ども、Mistirです。

さて、タイトルにある1000円の腕時計「チープカシオ」が今流行みたいですね。
実は、その腕時計に関して少し語りたい思い出だとか思いだとかがある。
ほんの少し、お付き合い願いたい。


社会人になって多少自分の使える金が増えると、余計なものが欲しくなる。
例えば、こんな時計。

実は、僕はシンプル至上主義だ。
モノトーン、無機質、そういったものが大好きだ。
余計なものは要らない。
ただただ洗練されたシンプルさを愛している。
スカーゲンという会社は、なんというかどストライクなのである。

余談だが、そんな僕は無印良品とか大好きなのだ。

……にも関わらず、無印良品の時計はこんな感じである。

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かなり惜しい!文字盤が小さくてなんか洗練されてない!
針の感じがちょっと(悪い意味で)チープ!

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惜しい!シンプルだけど文字がでかすぎて少しだけダサい!

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ああもはや惜しいとさえ思わない!ぜんぜん違う!シンプルといえばシンプルかもしれんけど!

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お前は確かにシンプルかもしれんが何もかもが違う!!

……と、そんな感じで。
無印の時計はちょっと違うんです。

ちなみに、5年以上使っている時計がこんな時計だ。

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5000円程度の時計なのだが、これはこれでかなり気に入ってて非常に良い買い物をしたと思っている。
人生で買ったものの中でもベストに入る買い物の一つだ。
あの頃は5000円も相当な大金だった……いや、今でも安くはないが……
※5000円は調子に乗っていると酒で吹っ飛ぶ額なのはご愛嬌


さて。
先程貼った、この時計。

ぶっちゃけ、どストレートに好きである。
欲しい。
だが、さすがに27000円は気楽に出せる額ではない。
それに、先述の通り今の時計でも十分使えるし気に入っている。
ってことで忘れかけていた。

そんな頃、ある記事を見かけた。

www.lifehacker.jp

サムネイルに表示されている時計だが、確かにカッコいい。
かなり僕のツボだ(無印良品の時計よりも)

リンクから、Amazonのページを見てみる。
「へぇ、色々あるじゃん」と、色々と見てみる……
と。
その中の、ある商品の写真に、目が止まった。

……待て。ちょっと待て。
俺、これ持ってたぞ。

……そうか、お前か。
このシリーズだったのか。
厳密にはこのモデルじゃなかったかもしれないが、この時計のことはよく覚えていた。

僕は高校の頃、いろいろな時計を買っていた。
文具や時計には妙にこだわるヤツだったのだ。
かといって、お金はないからドン・キホーテあたりで2000円くらいで買えるような時計を時折(年に3,4回とかだろうか?もっとだったか?)買っていた。
H市をふらふら歩きながら、なけなしのお金で買っていた(もちろん、大抵のものは買えなかった)。

デジタルの時計にこだわっていた。
ストップウォッチがあって、見やすいもの。

……はっきり言って、高校生に腕時計なんて、それほど必要な物じゃない。
だけど何故か僕は時計に……ほんの少し、こだわっていたのだ。
多分、そこで背伸びをしていたのだと思う。
時計にこだわる僕自身にこだわるというか、なんというか。
ヤンキーがピアス付けたりとかワケの分からない服を着たりするのと同じだったのだ、多分。

……で。
デジタルウォッチの最後にたどり着いたのが、これだった。

薄い。
超薄い。
付けてる感じがしない。
にも関わらず、謎の高い視認性。
そして、壊れない。
雑に扱っても全然問題がない。
海なんかに持って行ったことも何度もあったと思う。

……なんだかよくわからない。
よくわからないが、良い時計だった。

……が。
その時計に関しては、せいぜい1年程度しか使わなかったように思う。
正確な期間に関しては、正直全く覚えていない。

何故使わなくなったか?
この時計に出会ったからだ。

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少しだけ良い時計が欲しかったのだ、どうしても。
この時計を買った頃、僕は日常生活で使うありとあらゆるモノを変えようとしていた。
モノを変えることで、何かが変わると信じていた。
それは錯覚かもしれないが、実は未だにその幻想(のような何か)に取り憑かれている。

……まあ、とにかく。
この時計は非常に良いモノで、値段不相応な高級感があった。
結果的に長いことこの時計を使うことになり、先程貼り付けた1年程度(?)使っていたカシオの安い時計は引き出しの奥に仕舞われた。

そして、先程の記事に戻る。

先程の記事を見てから、色々と調べてみた。
どうやらこのカシオの安い時計、流行っているらしい。
それも「チープカシオ」と呼ばれて。
サブカル系女子たちがこぞってサブカル界の新宿歌舞伎町であるInstagramにアップしているそうなのだ。けしからん。
けしからん。


ーー僕が引き出しの奥に仕舞い込んだその時計が、何故か今頃流行っている。
不思議な話だ。

もちろん、僕がその時計を買った頃はネットでその時計について調べるなんて思いもよらなかった。

不思議な事もあるもんだなぁ、などと思いながら。
欲しくなったが、それでもAmazonで買うのはなんとなくやめといた。
まぁ、なんとなくである。
1000円の時計をポチるのが、なんとなくアホらしく感じてしまったのだ。
というかどの時計が欲しいのかよくわからなくなった。

……が。
先日、上野で仕事帰りにとんかつ食べてからゲーセン寄って、その後ふらりと立ち寄ったヨドバシで……見つけてしまった。

壁に大量に陳列された「チープカシオ」を。

……考えた。
考えた、が。
それほど深く考えることはなかった。
3桁の数字がかかれた値札の貼られたその時計を、僕はレジに持って行った。

多分、実家の引き出しに今も仕舞われている。


……妙な高揚感があった。
本当に妙だった。
1000円の時計で、僕はこんなにワクワクしている。
イメージ的には高校の頃の250円くらいの価値だ。いや、もっと安いかも。

着けてみる。

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社会人がスーツと合わせるデザインではない。

だけど、薄い。
見やすい。
そしてレトロさがワクワク感を醸し出す、このフォルム。
ストップウォッチもアラームも付いている。
そして、何より。

昔身に着けていた、あの感覚。

……不思議な話だ。
安っぽいから、アナログが使いたいからと机の奥に仕舞い込んだ時計。
その過去の時計を流行に踊らされて、買ってみて、そして流行に踊らされた割にワクワクしてる。1000円で。
……やっぱり、不思議な話だ。

ここのところ、何かモノを買うときは常にネットで調べて、常に最高のものを買っている。
満足のいくものを。
レビューの値が高いものを。
あとは、昔からモノにこだわってきた僕なりの直感で。
そして「予想通り」いいものが手に入る。
……でも、そのワクワク感と、このワクワク感は全く違う……
根本的に質が違う。

それは僕がおっさん臭くなって、昔の思い出に浸ってるが故のワクワク感なのか。
それとも、昔の「自分だけのセンス」を追求していた頃の自分を思い出した快感なのか。
……でも、結局色々ネットで調べて買ったんだよな、この「チープカシオ」でさえも。
仕方ないじゃん。チープカシオ、調べてると面白すぎるんだよ。
なんだよテロ組織のア◯カイダが使ってたって。
なんなんだよある組織では入隊の証明にこの時計が授与されるって。
面白すぎんだろ。

……とにかく。
モノを買うにせよ、何にせよ、しょうもない「自分のセンス」を愛してた頃、安いものにワクワクしてた頃ってのが必ずあって。
で、いつかそこに「戻る」かもしれなくて……

このちょっとワクワクして、同時にモヤモヤしてる感覚にひとつの折り合いを付けるためにも、ドン・キホーテにでも行って雑な安物を雑に買ってみようかな、とか考える今日このごろです。

今日の記事はここまで。
少なくとも、もうしばらくこの「チープカシオ」と付き合ってみます。

お読み下さりありがとうございました。
ではまた次の記事で。